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民医連新聞

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副作用モニター情報〈531〉 ヘリコバクター・ピロリ菌 除菌薬による多形紅斑

 ヘリコバクター・ピロリ菌除菌薬による「多形紅斑」の副作用です。

症例) 70代男性。除菌薬(ボノサップパック400)を7日間服用。終了直前から背中にかゆみが出現。除菌薬は飲み切った。
内服終了3日目:全身に大豆大の紅斑が多発散在。駆幹では癒合傾向。浸潤軽度。顔面は淡紅斑。眼瞼浮腫も出現。眼充血あり。ステロイド全身投与とステロイド軟膏を開始。
5日目:四肢の紅斑は遠心性に拡大し、紅色調、浮腫は強く、入院治療に。
14日目:ステロイドを漸減しつつ継続。躯幹、四肢の紅斑なく色素沈着化。
15日目:かゆみ、皮疹ともほぼ軽快し退院。その後、さらにステロイド漸減。
34日目:ステロイド終了。
 当モニターには、ヘリコバクター・ピロリ菌除菌薬によるグレード2(全身性の紅斑など、広範囲に分布する発疹)以上の皮膚症状が98件報告されています。
 ピロリ菌の除菌薬には、抗生物質2種類(アモキシシリン、クラリスロマイシン、2次除菌ではメトロニダゾール)と胃酸分泌を抑制するプロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、ボノプラザン)のいずれかの計3種類の薬剤、あるいはこれらを組み合わせたパック製剤(ラベキュア、ランサップ、ボノサップ、ラベファイン、ランピオン、ボノピオン)があります。
 発現時期は、アナフィラキシーを含む3日以内が23件、3日以降の服用中が10件、服用終了の7日以降14日までが62件、それ以降が3件で、ほとんどが2週間以内です。2週間以内に半数以上(55件)が回復していますが、0.5カ月~1カ月が28件、1カ月以上を要した事例が13件(他は不明)。服用終了後も紅斑や水疱、発熱や眼の充血、口唇の発赤に注意するよう説明が重要です。
 また、皮疹の急激な拡大や全身症状・粘膜症状を伴い、スティーヴンス・ジョンソン症候群が疑われる場合には、全身管理の対応が求められます。
 多形紅斑は「重篤副作用疾患別対応マニュアル」に新規作成されました。PMDA(医薬品医療機器総合機構)が2018年に公開し、注意喚起しています。

(民医連新聞 第1708号 2020年1月20日)

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