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民医連新聞

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診察室から 日本にある多様性を認め合う文化

 正月になると我が家で問題となるのが雑煮。今は香川県に住んでいますが、私の出身は愛知県でパートナーは愛媛県。まず角餅か丸餅かで論争が始まります。私はどちらかというと焼いて少し焦げ目がついたような、表面がパリッとした角餅が好きです。パートナーはしっかり煮て柔らかくなった丸餅を好みます。そして高校生の長女と中学生の長男は、生まれも育ちも香川県。すまし汁か白みそ仕立てか、出汁をどうするか論争が加わります。しかも香川県は全国的にも珍しい丸いあん餅!に白みそベースの汁。
 結局、雑煮をつくる人間が主導権を握るので、私がつくるときはこんがり焼いた角餅にすまし汁、具はかしわと小松菜のシンプルなものに、のりや削り節をたっぷりと。パートナーがつくるときは、すまし汁でダイコンやニンジンの彩り鮮やかな中に、よく煮込んだ丸餅です。子どもたちは、残念ながらまだ自分たちではつくらないので(笑)、親がせっつかれて香川県の雑煮をつくらされます。ただ実際食べてみると、どれもやっぱりおいしい。私もあん餅に白みそなんてありえないと思いましたが、恐る恐る食べてみると意外にもあんと白みそが合うのです。私やパートナーもそれぞれの実家特有のバリエーションが入っていると思うので、この地域でもそれぞれ家庭なりの雑煮があるのでしょうね。
 さて、世の中は人種や国籍の違い、性および性的志向の多様性、地球規模では生物多様性と環境問題など、多様性を認め合うことが明らかに必要な時代です。ただ、最近の日本社会は多様性を否定するような現象もみられて心が痛みます。日本は雑煮ひとつとっても、我が家のように多様性を認め合う文化が根付いているのではないでしょうか。偏見なく、いろいろな雑煮をおいしく食べて、今年こそ日本が、そして世界がいい方向に向かうように、またみんなでがんばりましょう。

(北原孝夫、香川・高松協同病院)

(民医連新聞 第1707号 2020年1月6日)

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