めざすは利用者の家族のように 人間の尊厳を大切にできる知識と技術を 留学生も学ぶ 東京
介護福祉士を育てる専門学校や大学などで学んでいる外国人留学生が増え、2019年度は入学者全体の約3割にのぼりました。民医連に加盟する東京・千住介護福祉専門学校にも留学生がいます。学園祭前日、準備に追われる同校を取材しました。(長野典右記者)
調理実習室には、学園祭の準備に追われる学生の姿がありました。ネパールからの留学生のチャンティヤル・サビナさん(22歳)は自慢の母国料理の「モモ」を、同じネパールからの留学生のゴレ・ラミタさん(25歳)と準備していました。
サビナさんは日本に来て3年目。昼間は勉強し、平日は17~20時、土曜日は9~14時、介護老人保健施設「千寿の郷」でアルバイトをしています。「生活支援や調理の実習がとても楽しい」といい、認知症の人の支援に興味があります。
■50円の学生食堂
ゴレさんは、祖母の介護をした経験から、日本で介護福祉士の資格をとることにしました。利用者が笑顔で幸せになる介護をめざしています。「日本人も留学生も同じ目線で授業する教育方針がここの学校のよさ」と語ります。当校の学生食堂は、共同組織の支援もあり、50円で食べられます。ゴレさんも柳原リハビリテーション病院でアルバイト中です。
インドネシアからの留学生のスシ・ロハナさん(21歳)は友人と飾り付けの用意をしていました。高校生の時に祖父と祖母の介護を経験し、介護の道を選択。「学校で学ぶことは全部楽しい」と語ります。利用者に笑顔が出てくる介護をめざしています。
■ひとつの教室でともに学ぶ
現場とともに歩む学校を理念に2008年4月に開講した同校は、すでに227人の卒業生を送り出し、民医連の介護・福祉事業所でも活躍しています。
現在、1年生19人のうち留学生は8人。「ひとつの教室でともに学ぶことを大切にし、将来、同じ職場でさまざまな人と関係がつくっていけるような配慮をしています」と副校長の宇留野彩子さんはいいます。「利用者、家族、学生自身も生涯にわたって幸せに生きられるよう、尊厳を大切する知識と技術を身につけて巣立ってほしい」と抱負を語ります。
「おじいさん お待ちください2年後は 一人前の介護士だから」と介護百人一首短歌を書いた韓国からの留学生のキム・キョンモクさん(44歳)。合気道の道場運営やファストフードのマネジャーを務め、日本に。「韓国でも高齢化がすすむものの、施設が少なく、在宅での家族介護が多い」といいます。「めざすは利用者の家族になれるような介護」とキムさん。
韓国社会的医療機関連合会(社医連)が結成された話を聞き、医療と介護の連携、日韓関係など今後の活動に希望がふくらんでいます。
(民医連新聞 第1707号 2020年1月6日)