日本で働く外国人 ~SNS相談室から~ 最終回 (18)市民としての受け入れを 文・写真/榑松 佐一
国は外国人労働者を、使い捨ての安い労働力としか考えていません。しかし、入ってくるのは人間です。お腹も空くし、病気にもなります。家族や子どものいる外国人も増えています。
製造業の盛んな愛知県では、日本語教育を必要とする児童が5000人を超えて、東京都の3倍です。日本語がよくわからないために高校に入れなかったり、特別支援学校に入る生徒もいます。義務教育を受けられないまま15歳を過ぎて、中学校すら入れない子どももいます。
教育だけではありません。障害を持つ人も介護が必要なお年寄りもいます。不安定な仕事で解雇されたり、生活に困窮する人も少なくありません。外国人の入居を断る住宅が多く、公営住宅でも保証人を求められることがあります。今年は台風による大災害があり、停電でスマホも使えない中、どう生活しているのかわかりませんでした。
政府は移民政策をとらないと言っていますが、昨年の日本の外国人受け入れは390万人、世界第4位の移民大国になっています。今必要なのは生活する人間としての受け入れであり、教育、社会保障など市民としての権利を保障することです。
みなさん、ぜひお近くの外国人と友だちになってあげてください。アジアは急速に発展しています。私たちが知らないことがたくさんあります。
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連載は今回までとなりました。読んでいただいたみなさん、ありがとうございました。私は今、コープあいちで要支援者の生活支援の仕事をしながら、この原稿を書いています。国は介護の人手不足の中で制度改悪と外国人の導入をすすめています。私は今月ベトナムに行きます。この記事が出るころには介護実習生の教育施設を見学していると思います。帰国した実習生たちとも会ってきます。来年もどこかで報告できると思います。(連載おわり)
くれまつ・さいち 愛知県労働組合総連合議長、1956年生まれ。著書に『外国人実習生「SNS相談室」より―ニッポン最暗黒労働事情』など
(民医連新聞 第1706号 2019年12月16日)