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民医連新聞

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「総がかり」で守ろう いのちくらし 働く当事者としてANTI増税の声を グラフィックデザイナー TOMさん

 多彩な人と手を結び、「総がかり」でいのちとくらしを守ろうー。今回は、大阪で行われた「ANTI10%DEMO(アンチテンパーデモ)」の主催者のひとり、グラフィックデザイナーのTOMさんです。消費税10%への増税で、中小事業者の健康が、ますます脅かされています。(丸山いぶき記者)

 8月25日、大阪で「ANTI10%DEMO」を行いました。きっかけは、インボイス制度の問題を指摘した「しんぶん赤旗」の記事。「これ、あまり知られてないけど、(中略)マジで中小業者は廃業危機ですよ」とTwitterでつぶやくと、8500件以上リツイートされ、フリーランスで働く人に大きな反響がありました。消費者に加え、フリーランスや中小事業者に向けたデモが必要と感じ、仲間とともに企画。結果的に約200人が集まり、社会にアピールできました。
 好意的な反応が多かったのが印象的でした。笑顔で手を振ってくれたり、女子高生がドラム隊に合わせて身体を揺らしていたり。イデオロギーに関係なく、みんなが「増税はイヤ」に賛同していると感じました。

■インボイスって何?

 軽減税率導入に伴い2023年から導入されるインボイス制度は、正直めちゃくちゃややこしい制度です。インボイスとは、8%と10%の税率ごとに区分した適格請求書(請求書や領収書、納品書)のこと。これが発行できないと取引先が仕入れ時に払った消費税額の控除を受けられず損をします。そのため、インボイスを発行できない非課税業者は自ずと取引から排除されます。年間売り上げ1000万円以下の事業主は非課税ですが、取引から排除され廃業に追い込まれるのを避けるには、課税業者になるしかありません。
 これはどっちを選んでもつらい。課税業者になれば、売り上げにならない仕事が増え、場合によっては人を雇わなければならなくなります。
 中小企業が廃業すると、一般の消費者のくらしも変わります。小さい商店もあるからこそ、流通が成り立ち、豊かな社会が形成されています。そんな中小事業者にインボイスで追い打ちをかければ、どんどん味気のない世の中になります。

■やりがい搾取

 そもそもフリーランスは安く仕事を受けています。手間のわりに報酬が低く、“やりがい”だけで仕事をさせる、いわゆる“やりがい搾取”が横行しています。便乗値上げとよく言われますが、配送料や原材料費が上がる中、事業主にとっては必要な値上げです。
 単純に8%、10%だけでなく、自ずと商品も値上がりして、消費者にもかなりの負担です。増税から2~3カ月と経ち、9カ月後にキャッシュレス・ポイント還元も終われば、実感はさらに増すでしょう。大企業の内部留保を許しながら、一般の人が消費税を払わされ続けているのは、税制として明らかにバランスが悪いと思います。
 デザイン業界でも、個人事業主に席だけ与えて仕事を回すという形態がよくあります。会社も苦しく、会社負担の社会保険料が払えないからです。廃業も増えていますし、同業者から「国保料高い」の声もよく聞きます。
 僕も、定期健診は受けていません。健康に働けて、生活でき、無理なく納税できるのが、社会の健全な状態ではないのでしょうか。
 僕は消費税はいらない、廃止すべきだと思います。
 みなさん、3000円の商品を買い300円の消費税を取られたら、その300円を自分のために、どう使えたか? 考えてください。社会保障のためと言われるけれど、もっとイメージしてみてください。
 最近、「声を上げてくれてありがとう」とよく言われます。若い事業者が当事者として声を上げたことが重要なんだと思います。

(民医連新聞 第1704号 2019年11月18日)