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民医連新聞

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副作用モニター情報〈529〉 トルリシティ皮下注の消化器系副作用

 トルリシティ皮下注は2015年に発売された2型糖尿病治療剤です。週1回の使用で効果が持続されるように製剤的工夫をされたグルカゴン様ペプチド―1(GLP―1)受容体作動薬と呼ばれる薬です。発売から4年となりますが、週1回の注射で済む点や使い方の簡便さから、高齢者や介護が必要な患者に対して幅広く利用されるようになりました。その注射剤の副作用について紹介します。
症例1) 30代男性。ジャディアンス、シュアポスト、ミグリトール服用中。トルリシティの処方が追加。投与後13日目、トルリシティを注射すると嘔吐するので中止となる。
症例2) 60代女性。トレシーバ、ヒューマログ服用中。トルリシティ皮下注初回投与2日後に2回嘔吐。その後も嘔吐が続き、5日後に使用中止の指示。
 トルリシティの副作用は、低血糖よりも悪心や下痢の割合が高くなっています。2019年5月にはDSU(医薬品安全対策情報)より「重度の下痢・吐き気」の注意喚起がなされました。全日本民医連副作用モニターに報告された副作用も、全12例中、悪心・吐気6例、下痢2例で、低血糖などより多くなっています。

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 GLP―1は消化管で胃排泄遅延作用や消化管運動低下を、中枢神経系には食欲抑制作用を有します。この作用が原因でこれらの副作用が起こることが推察されます。排泄遅延作用は血糖の調整に有利に働き、同時に体重増加の抑制につながると言われますが、このような有害事象も引き起こす可能性があります。トルリシティの悪心嘔吐の副作用は特に初回投与時に多いことが確認されており、2回目以降はその副作用は軽減すると言われていますが、注意して経過を観察する必要があります。

(民医連新聞 第1704号 2019年11月18日)

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