日本で働く外国人 ~SNS相談室から~ (16)SNSを使った通訳 文・写真/榑松 佐一
4月15日号で紹介した、怒鳴り声から逃げてきた実習生。ビザが再発行され、10月28日から新しい会社で実習を再開できました。ご支援ありがとうございました。
相談に来る実習生は割と日本語がわかる方ですが、多くの実習生はほとんど話せません。そして私もまったく外国語を話せません。それでも対応を可能にしてくれるのがSNSです。
多くの外国人は国際通話無料のSNSを利用しています。電話だけでなく、インターネット回線を利用してビデオ通話もできます。私はフェイスブックのメッセンジャー機能を使い相談者ごとにグループをつくっています。グループに通訳できる人を入れ、時間のある時に翻訳してもらいます。本人に母国語で詳しく書いてもらい、必要な証拠を集め、契約書などの書類や社長の話などは動画も送ってもらいます。メッセンジャーは記録が残るので、過去の経過を見直しながら整理でき、ビデオ通話で状況を見せてもらうことも可能です。通訳と画像のレベルをあげれば医療現場でも使えると思います。
通訳は日本人とは限りません。海外からでも通訳してもらえます。大きな施設でなければ通訳を常駐させることは困難ですし、多国籍化しているため、それぞれの母国語の通訳はとても配置できません。全国的に契約して、その時間に対応できる人にお願いすればいいと思います。
翻訳アプリも進化しています。私は観光用の無料アプリVOICE TRAを使っています。長い文章には不向きですが、短い言葉なら問題ありません。日本語から翻訳するときは、正しく翻訳できているか確認してやり直すことも可能です。通訳を入れる前の最初の聞き取りはこれで行います。医療現場でも受付などで使えるのではないかと思います。(続く)
くれまつ・さいち 愛知県労働組合総連合議長、1956年生まれ。著書に『外国人実習生「SNS相談室」より―ニッポン最暗黒労働事情』など
(民医連新聞 第1704号 2019年11月18日)
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