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民医連新聞

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診察室から あいさつが苦手です

 300床弱の病院に勤務しており、「おはようございます」「こんにちは」「お疲れさまです」など、1日数十回、医者になってから約10万回、患者さんやスタッフと交わしています。それなのに全然慣れません、あいさつに。
 近距離系やすれ違う系のあいさつはまだよいです。難しいのは、ちょうど私が角を曲がる時に向こうから来る人と目があった時。大体気づかないふりですすみますが、あちらから「おはようございます」と言われたらさあ大変。
 選択肢(1)そのまま気づかなかったことにする↓「あいさつもできない医者なんだ」「どうせ大した診療もしていないんだろう」と思われます。事実だから(特に後者は)、これはいけない。(2)必死に首をそちらにぐいんと曲げて、にっこり「おはようございます」↓「あいさつくらいで必死だな」と思われます。クールで定評のある私。これはいけない。(3)しっかり立ち止まって体ごと相手に向き直り腰を曲げて「おはようございます」↓「真面目か」。そんなに真面目ではない私。これはいけない。結局「おはぁあっつす」とか謎の小さなつぶやきを自分の進行方向に放り投げる日々です。その先にまた誰かがいれば、1回分節約できてもうけものです。
 すれ違う系あいさつも、1日に何回も同じ人に会う場合は困ります。1回目は普通にしますが、2回目以降どうするか? 「お疲れさま」に移行か、会釈くらいにしとくか。「さっきあいさつしたばっかで疲れてないわよねぇ」「言葉を発しないのもなんだかなぁ」ととりあえず相手にあわせます。
 困るのは2回目も3回目も向こうが「おはようございます」でくるパターン。「え? さっき私とおはようしたの忘れてるの? 私のこと忘れてるの?」とへこみますが、「この人はおはようを言い続けるおはようの神様なんだ」と体で会釈、心で礼拝できればその日はいい日になるでしょう。
 ということで、今日もあいさつがんばります。あ、遅くなりましたが、みなさまおはようございます。

(岩田真弥、新潟・下越病院)

(民医連新聞 第1702号 2019年10月21日)

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