共同組織拡大強化月間スタート! “高すぎる 国保税下げて” 友の会が署名2000筆超集め市議会へ 東京・健生会 三多摩健康友の会昭島支部
10~11月は共同組織拡大強化月間です。健康友の会や医療生協組合員は、私たち民医連が無差別・平等の医療と介護を実現し、住み続けられるまちづくりをすすめるため、かけがえのないパートナーです。東京・健生会は、三多摩健康友の会とも協力しながら国保アンケートを集めてきました。なかでも同会昭島支部(小沼恒雄支部長)は、独自に国保改善への声を聞き取り、3カ月で2154筆の署名を集め、市議会に請願しました。(丸山聡子記者)
「地域を回っていたら、商売をやっている人たちから『国保税が高くてやっていけない』という声をいくつも聞いた」。そう話すのは昭島支部事務局長の大竹英明さん。地域密着のスーパーがなくなり、客は隣市へ流れ、商店街は壊滅的な状況で、国保税、介護保険料に悲鳴が上がっていました。
昭島市の国保税は、夫婦ともに40代で子ども2人の4人家族の場合(年収400万円)、年額40万7500円で、収入の1割超。東京23区を除く26市の平均より高く、市の法定外繰入金は26市平均を下回っています。昭島社会保障推進協議会とも協力し、国保アンケートや国保税引き下げを求める署名を始めました。
■国保税引き下げを請願
健生会からの呼びかけもあり、5月から友の会会員と職員で地域の患者・会員宅を訪問。「年金では足りずアルバイトをしている」「国保税、介護保険料を年金から差し引かれ、手元に残るのは4万円。消費税が上がったら生活できない」「子どもに小遣いをもらっている。家賃を払うと病院に行くお金がなくなる」「国保税を滞納し、分割して払っている」など、深刻な声が寄せられました。「生活が成り立たない。なんとかしなくては」と、昭島支部は6月の総会で高すぎる国保税の引き下げを今年度の重点課題として確認。署名用紙を持ち歩く副支部長の鈴木利枝さんは、「これほど関心の高い署名は初めて。給料を差し押さえられた人もいた」と言います。
ケアプランセンター昭島では、ケアマネ数人で訪問行動に参加しました。認知症の父を息子が介護している家庭では、「父の年金で暮らしている。水光熱費を払うのも大変で、国保税は滞納している」と聞きました。「要介護者の話は聞いても、家族全体の暮らしぶりまではなかなか聞けていなかった。訪問する大切さがわかり、その後も声を掛け合って訪問した」とケアマネの荒井宏さん。
4回にわたり市議会に足を運び、各議員に市民の声を届け、紹介議員になってほしいと要望。目標だった1000筆の倍以上の2000筆超を集めたことも力になりました。以前、国保税の引き下げについて「今はすべきでない」と回答していた野党系会派も9月議会での採決では賛成。請願は否決されましたが、「これまで、私たちの請願に賛成は共産党のみ、ということが多かったが、今回は賛成する議員が広がった。市民の切実な声が議会を動かした」と、大竹さんは手応えを感じています。
■7割が「高い」と訴え
健生会平和社保共同組織委員会は「よくわかる国保パンフレット」をつくり、全事業所で学習し、国保アンケートにとりくみました。387人から聞き取った結果、65%が「国保料(税)は高い」とこたえ、「滞納したことがある」29人、2人が財産を差し押さえられていました。国保料(税)のみならず窓口負担金も重くのしかかります。「重い症状の時のみ受診」(24%)、「受診回数を減らす」(13%)、「家族の受診を優先」(9・8%)など深刻です。昨年、立川市の50代の男性が、国保料を払い正規の保険証を持っていたにもかかわらず、窓口負担が払えずに受診が遅れて亡くなりました。
社保組織部長の乾招雄さんは、「あらためて高すぎる国保料、窓口負担の深刻さがわかった。国保法44条の適用をはじめ、自治体にも働きかけて、改善していきたい」。三多摩健康友の会では、月間では昨年の倍となる2000人の仲間増やしをめざしています。
地域の人とともに歩む
昭島支部では毎月1回、「お元気ですか訪問」と名付けて、85歳以上の会員宅を訪問しています。ひとり暮らしも多く、「久しぶりに人と話した」とおしゃべりに花が咲きます。訪ねてみたらベッドから転落したところで、助けたこともありました。訪問は年間300軒ほど。
「お茶処たんぽぽ」は今年6月に7周年。やまぼうしの会は毎週水曜に集まり、あきしま相互病院の庭の手入れをしています。栗山好子さんと滝沢洋子さんは、「おしゃべりしながら土いじりをするのが楽しい。患者さんに『きれいだね』と喜ばれ、嬉しい」と笑います。
「不安を抱える地域の人たちとともに歩みたい」と鈴木さんは話しています。
(民医連新聞 第1701号 2019年10月7日)