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民医連新聞

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知れば知るほど広がる 特養あずみの里裁判控訴審 全国で支援

 全国の奮闘により2カ月余りで15万7201筆を集めた特養あずみの里裁判「控訴審で無罪を求める」署名。8月30日に東京高裁に提出しました。民医連にとどまらない介護、看護、福祉の現場、患者・利用者と家族に、「介護の未来を守る」たたかいへの支援が広がっています。(丸山いぶき記者)

 9月18日、特別養護老人ホームあずみの里を訪ねました。食堂にはこの日も利用者の笑顔がありました。「特養は生活の場です。ジッと監視されて、落ち着いて食事できますか?」と問うのは「無罪を勝ち取る会」事務局長の手塚健太郎さん(介護福祉士)。「注視=目視ではない。音や気配で複数の利用者に注意を向けています。裁判官にそんなプロの現場を見てほしい」と話します。

■「人ごとじゃない」

 夕方、あずみの里から車で約20分のJR松本駅前で、長野・松本協立病院の職員25人余りが、「控訴審で無罪を求める」署名を集めていました。「あずみの里の職員だけにがんばらせるわけにはいかない」と毎週水曜に街頭に立ち、2年以上。この日は、30分で38筆を集めました。
 交差点で信号を待つ人に声をかけるのは、同院の日高大地事務長。「駅向こうの松本協立病院の職員」と名乗り、「特養の利用者が亡くなり」「遺族とは示談が成立」「しかし1年後に起訴」「介護の未来がかかった裁判」と短時間で伝えます。「一審判決をマスコミが批判的に取り上げ、この裁判を知る人が増えた。若い人が署名してくれます」と話します。障害者施設の合同研修会でも、「障害者福祉や保育などあらゆる分野につながる問題」と大きな反響があったと言います。「どこでも起こりうること。知れば知るほど、人ごとではないと感じます」と病棟看護師の柳瀬友子さん。

■民医連外にも支援の輪

 埼玉では6月末、控訴審支援のために「無罪を勝ち取る」埼玉民医連推進本部を立ち上げ、県連副会長を本部長に7人の本部体制を整えました。週報で署名集約状況を見える化。全事業所がとりくみました。
 福岡では、県内の特養と介護老人保健施設、病院、計923事業所に署名用紙とパンフレットを送り、8月27日までに7300筆超の署名と共感の手紙が届きました。ある病院の看護部長は「短期間に当院全職員約290人中197人が協力したように、多くの支援者がいるとお伝えください」と書いてくれました。
 愛知では、同様にパンフレットと署名用紙を添え支援のお願いを送ると、「無罪を勝ち取る会」への加入用紙とカンパを振り込んだとの手紙が届きました。
 北海道では、北海道老人福祉施設協議会から2000筆に迫る署名が届きました。中には「署名したいけど事情がありできない、と言う職員もいました。そんな職員の思いも送ります。なんとしても勝訴してください」と手紙をくれた施設長もいました。
 熊本では街頭宣伝・署名行動で、「この事故のことは気になっていたけど、話す機会がなかった。応援しています」と署名する介護職の人の姿がありました。
 「無罪を勝ち取る会」とあずみの里裁判控訴審支援中央連絡会は、署名の継続と、毎月末での集約・報告、11月8日(予定)の第2次署名提出行動、宣伝資材として控訴趣意書ダイジェスト版の普及などを確認。一審とは違い1回の公判で即判決のことも多い控訴審では、早くて年内と予想される初公判までの短期の運動が重要です。「無罪を勝ち取る会」では、それまでに45万筆の署名を集めきろう、と呼びかけています。


■特養あずみの里裁判とは

 2013年、おやつのドーナツを食べた入所者が急変し、1カ月後に死亡。当時、別の入所者を介助していた看護職員が業務上過失致死罪で起訴されました。長野地裁松本支部は今年3月、検察の求刑通り罰金20万円の不当な有罪判決を出しました。弁護団は即日控訴。東京高裁に係属中です。
 ※詳細は「無罪を勝ち取る会」発行のパンフレットで。
(問い合わせ:長野県民医連0263―36―1390)

(民医連新聞 第1701号 2019年10月7日)