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民医連新聞

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副作用モニター情報〈525〉 アセリオ静注液の投与量に注意 ~薬剤性肝障害~ 

 アセリオ静注液は、アセトアミノフェン1000mgを100mLの溶液として充填した製剤です。1回の投与量は、疼痛時では300~1000mg、体重50kg未満の場合は15mg/kgが上限、発熱時では疼痛時より投与量は少なく300~500mgとなっています。

症例) 70代前半の男性。基礎疾患は糖尿病、高血圧、慢性腎不全、脳梗塞。5年前の体重は60kgだったが49kgまで減っていた。歩行困難があり、2年前から施設入所中。
 朝、39℃の発熱でアセトアミノフェン400mgを服用したのちA診療所の外来を受診。来院時の体温は38.2℃、左肺下葉の誤嚥性肺炎の診断で外来にてアセリオ1000mg投与後に入院、夕刻からCTX1g/1日3回で治療を開始した。入院9日目の採血でAST 306U/L、ALT 282U/Lと肝障害が判明し、経過からアセトアミノフェンの過量投与による薬剤性肝障害が疑われた。

* * *

 この症例は、嚥下障害のため食事が満足に摂取できていない状況で大量のアセトアミノフェンを投与されたために、通常では食事から供給されるアセトアミノフェンの代謝酵素であるグルタチオンが消費され枯渇し、代謝されずに残ったアセトアミノフェンの中毒で肝障害に至ったと考えられます。アセトアミノフェンを安全に使用するコツは、剤形を問わず、「1回の投与量は10mg/kg、投与間隔は6時間以上」を基本とするなど、体重を基準にした用法用量を常に意識することでしょう。
 安全を考慮して投与量を適宜増減の上限量である15mg/kgとした場合、全量投与できるのは「疼痛時で体重66kg以上」に限られます。2017年にバッグ製剤に切り替えられるまではバイアルから必要量だけを抜き取って輸液に混合して投与していました。一方、バッグ製剤だと用量調節ができないという錯覚に陥り、全量を投与してしまう危険があります。薬剤の規格が汎用される量と一致していませんので、用量には十分注意して使用してください。

(民医連新聞 第1700号 2019年9月16日)

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