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民医連新聞

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全日本民医連 43期第3回評議員会開く 市民運動と結び 憲法9条守り抜こう 次期総会までの方針実践を意思統一

 全日本民医連は8月17~18日、東京都内で第43期第3回評議員会を開きました。評議員84人(予備含む)と全日本民医連の四役理事、会計監査などが参加。半年後の次期総会(来年2月、熊本)に向け、綱領改定から10年の振り返りや医師の課題について議論し、次期役員選出方針の承認、2019年度上半期決算、会計監査承認、方針の議論を全会一致で決定しました。1日目の夜には、佛教大学社会福祉学部教授の岡﨑祐司さんが講演しました。

(丸山聡子記者)

 根岸京田副会長が開会あいさつ。藤末衛会長はあいさつで、綱領改定から10年後となる次期44回総会では、「2010年代の総括と2020年代の課題と展望を議論し、方針決定することになる」と紹介。この10年を振り返り、政権交代から安倍政権復活、原発再稼働や新自由主義的改革、改憲と軍事化をおしすすめる政権に対し市民と野党が共闘し、民医連も力を発揮してきたと語りました。各県、各事業所の中長期計画と合わせてこの10年を振り返り、次につなげていこうと呼びかけました。
 岸本啓介事務局長が理事会報告。手遅れ死亡事例をはじめ、全国の民医連の仲間が事例をもとに人権と社会保障を守る運動の先頭に立っていると強調しました。また綱領と歴史を学ぶ大運動が、これからの民医連運動の土台となっていることを紹介しました。
 参院選で、改憲勢力が改憲発議に必要な3分の2を割り込んだことについて「希望を持ち、時代をつくり出す到達として確認したい」と強調。野党共闘を発展させるために力を尽くすこと、安倍政権がすすめる消費税10%への増税と社会保障解体へのたたかいを全国で広げようと呼びかけました。
 全日本民医連理事会選考基準基本方針案の提案、2019年度上半期決算案の提案、会計監査報告がありました。

65の発言で活発な議論

 2日間の討論で65の発言(8の文書発言含む)がありました。

■情勢

 統一地方選や参院選のとりくみから、米軍基地反対、反核平和の運動や社会保障を守る運動など、多彩な発言が続きました。
 沖縄・座波政美評議員は、「選挙をたたかい、新基地建設反対の圧倒的民意が明確になった」と報告。「辺野古新基地建設とそれにかかわる憲法の問題は全国民共通だ」と強調しました。
 岩手・小松紅実評議員は、野党統一候補と県連が政策協定を結び、模擬投票や政党マッチングアンケート、理事による昼休み訪問などのとりくみ、学習ブックレット『民医連の綱領と歴史』で契約職員含む7割の職員から感想が寄せられたことを紹介しました。
 千葉の岩谷久美子評議員は、千葉民医連として初めて国保44条を適用させた経験を報告。「SWを中心に粘り強く交渉したことが実を結んだ」とまとめました。
 済生会と共同で無料低額診療事業についての懇談を松山市と行った(愛媛・末光一元評議員)、介護保険の生活援助の規定回数を超えた場合の対応について(東京・石田美恵評議員)などの発言が続きました。東京、大阪、山口、長崎、沖縄から、国保アンケートのとりくみの報告がありました。

■綱領学習運動、2つの柱の実践

 熊本・光永隆丸評議員は、熊本地震から3年4カ月が過ぎたが、生活再建は遅れていると報告。仮設住宅からほぼ強制退去させられ、仮設を出れば何の支援も受けられないこと、熊本民医連の仮設住宅調査では、3割が受診抑制、8割超が医療費免除制度の復活を望んでいると紹介しました。
 大阪・坂田進評議員は、「誰のため何のため」の経営再建か、に徹底的にこだわり、債務超過を解消したこと、綱領学習が現在の経営でも大きな力を発揮していると報告。千葉・加瀬博之評議員は、社会福祉法人千葉勤労者福祉会で綱領学習委員会を立ち上げ、独自のDVDを作成していると紹介。すでに定年を迎えた先輩3人に話を聞き、「過去を現在に引き寄せ、全ての人が尊重される『目的地』をめざしていきたい」と結びました。
 県連内の事業所で連携し「なんでも相談窓口」を開設、10代の女性など18年度の相談は1500件超(岡山・栗林悟評議員)、宇都宮市医師会内にSDHや社会的処方にとりくむ「在宅医療社会支援部」が発足(栃木・関口真紀評議員)などの発言がありました。
 長野・日高大地評議員は、高裁に舞台が移った特養あずみの里裁判について、新パンフレットも作成し毎週宣伝行動にとりくんでおり、全国へ支援を訴えました。

■医師の課題

 山本一視副会長が発言。500人の奨学生集団の確立を実現し、200人の研修受け入れもつかみとる段階だと紹介。そのうえで、専攻医100人の受け入れを掲げる意義について説明しました。
 内科専門研修プログラムの一次審査通過で見えてきた専攻医シーリングの問題点(鳥取・岡田睦博評議員)、院長急逝の病院を「北海道はひとつ」を合言葉に守り抜き、新院長誕生(北海道・小市健一評議員)、大学医局や紹介業者と定期的に懇談、日常的に民医連を感じてもらうことが大事(京都・金岩孝也評議員)、医師が働きやすい労働環境の整備と全事業所あげての医師養成を確認(広島・佐々木敏哉評議員)、弘前大学医学科「地域枠」に健生病院が参入決定(青森・田代実評議員)などの議論が続きました。

■経営課題

 福島・北條徹評議員が、郡山医療生協の経営改善の報告と、民主的な全職員参加の経営活動を続ける決意を発言しました。香川・長谷川貴彦評議員は、全職員緊急集会で経営状況を率直に伝え、職員あげて必要利益にこだわり、大きく改善したことを報告しました。

■共同組織、まちづくり

 山梨・清水季世子評議員が、過疎地域で閉鎖した小規模デイを「高齢者の居場所」に転換、子どもと高齢者が集えるシェルター的存在になっていると紹介しました。高知・池田磨奈評議員は、つながりマップづくりや地元のショッピングセンターと共同した「居場所づくり」、駅のバリアフリー化など、地域に根ざした共同組織のとりくみを報告しました。

「旧優生保護法下での強制不妊手術問題に対する『見解』の議論の到達」を受けて

 全日本民医連優生保護法プロジェクトの斉藤和則副会長が特別発言。「旧優生保護法下での強制不妊手術問題に対する『見解』の議論の到達」を報告し、意見交換をしました。宮城の宮沼弘明評議員は、「当時、社会保障の財源は限られているため、社会保障が必要な人の出生を防ぐ、という議論があった。過去の出来事ではなく、今でも起こりうるという点を明記すべき」と発言。出生前診断などについても意見が出されました。
 藤末衛会長は、「議論の途中の経過として出した。当時の人権感覚がどうだったのかなど、関係者にさらに聞き取りをすすめたい。出生前診断についても一定の見解を出したい。議論し、情報や意見を寄せてほしい」と述べました。

(民医連新聞 第1699号 2019年9月2日)