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民医連新聞

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唯一の被爆国として核兵器禁止条約への署名・批准を 松井・広島市長が言及 被爆者団体などの要望を受け 平和宣言で

 【広島発】広島市の松井一実市長はこれまで、核兵器禁止条約を核兵器のない世界への一里塚にするためのとりくみをすすめるよう述べる一方で、日本政府に対し、条約への署名、批准を直接求めることはしてきませんでした。昨年12月、カナダ在住の被爆者で、ノーベル平和賞授賞式で演説したサーロー節子さんと面会した折にも、サーローさんの「日本政府に核兵器禁止条約の署名と批准を働きかけているか」との問いに対し、「反対する人を攻撃するのではなく、賛成を広げるやり方をしたい」「国政レベルでなく、住民に近い首長レベルでやりたい」などと述べていました。
 こうした状況から6月28日、広島医療生協の青木克明前理事長が共同代表を務める市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)」など23団体が8月6日の平和宣言に政府に条約の署名・批准を明確に求めるよう要望書を提出しました。7月4日には2つの広島県被団協など広島県内の被爆者6団体が、平和宣言で日本を含む世界各国の政府・政治指導者に核兵器禁止条約の署名・批准を明確に求めるよう松井市長に要望書を提出しました。7月17日には広島中央保健生協も安倍首相に対し、条約への賛成・署名を強く要望し、そのことを平和宣言で言及するよう求める要請文を申し入れました。
 こうした強い要請を受けて、松井市長は今年の平和宣言で、日本政府に対し「唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約への署名・批准を求める被爆者の思いを受け止めて」と訴えました。また、世界の政治指導者に対し、「核兵器のない世界への一里塚となる核兵器禁止条約の発効を求める市民社会の思いに応えてもらいたい」と要請しました。世論に押されたとはいえ、被爆地の市長が政府へ条約への署名、批准を求めたことは核兵器廃絶運動の貴重な前進といえるでしょう。

(広島民医連事務局次長 斉藤孝司)

(民医連新聞 第1699号 2019年9月2日)