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民医連新聞

民医連新聞

学び つながった 学生たちの夏 2019年 とりくみ特集

 この夏も、各地で看護学生たちの企画がとりくまれました。日常の学生生活から離れ、自主的に学び、仲間とつながる、多彩な企画の内容を報告してもらいました。

■北海道

災害時の医療者の役割とは

 7月27~28日、16回目のMS(Medical student’s)フェスタを札幌で開催し、学生40人と職員10人が参加。数年ぶりに医学生2人も参加し、医系学生の交流と民医連の医療・看護を学ぶ機会となりました。作年の北海道胆振(いぶり)東部地震の経験から「地域で安心して暮らすために~災害時の医療者の役割」をテーマに、事前学習もしながら当日を迎えました。
 震源地に一番近い苫小牧病院と札幌市内の介護施設が「発災直後からのとりくみ」について講演。その後グループに分かれ、在宅で医療を受けながら生活する患者宅や診療所、友の会、難病連を訪問し、当時の状況を聞きました。災害は生活の質を低下させ、健康被害に陥らせ、特に地域で高度医療を受けて生活する人や、障害者、子ども、高齢者は災害弱者となります。参加者は「日常の備えが大切で、日常の医療・看護が災害時の継続した実践につながる」「人と人とのつながりが重要」などを学びました。(梅下真由美、勤医協札幌西区病院・看護師)

■東北

排泄ケア体験で患者さんの視点学ぶ

 8月10~11日、第30回T6ENC(東北6県Egg Nurse Circle)を、「Smile~思いやり~」をテーマに宮城で開催し、奨学生52人、職員41人が参加しました。1日目は在宅看護について、ケアステーションしおかぜの永井知枝所長が講演。医療・介護の現状、訪問看護の魅力、経済的困難者の事例を学びました。事例をもとに必要な支援についてグループで考え、発表。高学年が低学年を巻き込み討議する姿が印象的でした。
 2日目は、坂総合病院の皮膚排泄ケア認定看護師・野村主弥さんから、排泄障害と皮膚障害・排泄ケアを学びました。オムツの使用方法と肌の保護、洗浄、保湿を体験。実技で患者の立場も理解でき、学生は興味深そうに真剣に体験していました。夕食交流会や県別交流会を通して、普段かかわることのできない仲間と交流できました。来年は岩手開催です。(齋藤由紀、山形・本間病院・看護師)

■北関東・甲信越

民医連看護の3つの視点を事例で学ぶ

 8月17日、第10回Nurse Egg Festival (NEF)を長野で行い、学生113人、職員49人が参加しました。テーマは「私のなりたい看護師像~3つの視点から考えよう」。民医連看護の3つの視点を、事例から学びました。
 健和会病院の井原裕子さん(看護師)と、訪問看護ステーション健和会の石井節子所長が、民医連のめざす看護の基本となるものと、退院調整看護師と訪問看護師の役割を講演。多職種連携の事例も紹介しました。班ごとに感想を交流。事例の中で3つの視点は?実践には何が大切? を話し合い、「思いを知りケアを受け入れてもらうには信頼関係を築くことが大切。患者、家族に寄り添い思いを引き出す」と発表しました。
 最後に、めざす看護師像を「思いを尊重できる看護師」「コミュニケーションのとれる看護師」などそれぞれ書きました。学生たちと実践することが楽しみです。(寺澤由弘、長野民医連・事務)

■関東

本番に向け社会保障を学ぼう

 11月16日開催予定のNEFに向け、8月19~20日、合宿形式の実行委員会を行いました。目的は学習テーマの決定と、実行委員長、副実行委員長の選出です。
 1日目は民医連の医療・介護活動の実践を職員が紹介。綱領ブックレットから民医連の歴史、無料低額診療から「まず診る、何とかする」実践、歯科酷書から貧困、被災地支援から「困ったところに民医連あり」の精神を学びました。夜は交流会。名前ビンゴで盛り上がり、海辺へ移動し花火。子どものようにはしゃぎました。
 2日目は、学習を踏まえ何を学びたいかを議論。セーフティーネットからこぼれてしまった人に対して何ができるか? と問い、社会保障制度について学ぼうと決定。「あなたに知ってもらいたい社会保障~誰もが医療を受けられる日がくる為に」を合言葉に、さらなる学習のスタートです。(髙橋惇司、神奈川民医連・事務)

■東海・北陸

終末期の困難事例に他県の仲間と挑む

 第14回DANS(Dear Active Nursing Students)を8月3~4日、三重で開催。38人の学生が参加しました。テーマは「結(ゆい)~笑顔と信頼でつなげる看護~」。ゼロから企画にとりくんだ学生たちが探し出したテーマです。
 「地域でその人らしく生きることをささえる」を軸に、在宅ケアにかかわる医師や看護師が、事例を交え講演。グループワークでは終末期の患者を通しどんな支援が必要か、自分たちはどうしたいかなどを、事例の難しさに悩みながら熱心に考えました。参加者からは「終末期医療は、看護師になったら必ず考えなければならない。今から考えていきたい」「他県の学生と交流できた。グループで協力したことが達成感につながった」などの声が。この経験は、患者さんとのかかわりに結びついていくと思います。(栩原良子、三重・津生協病院・看護師)

■近畿

憲法、平和も学び早く働きたい

 8月9日、大阪で第17回看護ゼミナール(Egg Nurse Step⇒B)を行い、122人が参加。実行委員会形式で、学生と職員が協力して5月から準備を重ねました。当日は、学生の発案で看護から政治、芸能のクイズでアイスブレイク。職員企画の学習で、平和を訴えるアニメで憲法9条の大切さなどを伝えました。寄り添う看護を恒例の寸劇で披露。「選挙に行かないと解けないと思った」「民医連の看護がイメージしやすかった」との感想がありました。
 助言者との交流企画では、学生から「看護師の先輩と直接話せて早く働きたいと思った」との声が。助言者も「たくさん質問してくれて、学生時代や現場を振り返り楽しかった」と、互いに充実。実行委員の学生の成長を感じられたことが、大きな成果でした。(森本紀和、兵庫・いたやどクリニック・看護師)

■中国・四国

ヒロシマで平和への第一歩

 第16回DANSを8月9~10日、広島で開催。学生が実行委員会を重ねて準備し、学生53人と職員、計100人が参加しました。テーマは「Let’s think~平和に向けてホームランじゃけん」。事前学習は「『はだしのゲン』で学んだ」「被爆者が尊厳を奪われたと学び看護の中にある尊厳を考えた」などの報告がありました。
 広島は世界で初めての実戦での被爆地。フィールドワークでは、広島民医連の職員研修「平和ゼミナール」で学んだピースナビゲーターがサポートし、平和記念資料館や慰霊碑をめぐり学習。私たちができる平和への一歩をピースサインで表現しました。ピースサインのキーワード「知る・考える・伝える・つなぐ・想像する・受け継ぐ・向き合う・発信と発進」に至った経緯を、学生が力強く報告。大交流会も学生ならではのアイデアで盛り上がり、来年の開催地・鳥取にバトンを渡して、再会を誓いました。(杉之原名伊子、広島・福島生協病院・看護師)

■九州・沖縄

SDHの視点を掘り下げて

 7月27~28日、第16回DANS「JEWL(Join Everything Wrap Learn)」in福岡を開催。「学ぼうSDH~医療者だからできること~」をテーマに学生44人、職員25人が参加しました。福岡・健和会の有角裕理子さん、福岡医療団の大曲美潮さん、親仁会の緒方弘征さん(いずれもSW)が、「事例から学ぶSDH~ソーシャルワーカーから看護学生に伝えたいこと~」をテーマにトークセッション。事例をもとにSWと学生が意見交換し、SDHの視点を掘り下げました。
 「医療者が生活背景や社会背景を知らなければならないのはなぜか~健康な社会について考えよう~」をテーマに班討論。「病気の奥に隠されているものを知ることが大切」などの意見が出ました。
 2日目は学習したSDHについて県連ごとに発表。2日間、県連の垣根を越え交流し、未来の民医連看護師として、患者がその人らしく生活するには、どう看護すれば良いかを学びました。(周寳まり、福岡・千鳥橋病院・看護師)

(民医連新聞 第1699号 2019年9月2日)