核兵器をなくすために 私たちにできることは 原水爆禁止世界大会 民医連の参加者が交流
8月7~9日、被爆から74年の長崎市内で原水爆禁止2019年世界大会が開かれ、全体で約5000人、民医連から1200人超が参加しました。8日の夜には民医連参加者交流集会を開催し、37県連442人が参加。韓国の代表団20人も加わり、平和な世界と核兵器の廃絶を展望し、交流しました。
(丸山いぶき記者)
全日本民医連の増田剛副会長が「被爆の実態を持ち帰り、職場で共有してほしい」と開会あいさつ。被爆2世でもある長崎民医連の平野友久会長は、「私も原爆で悩み苦しめられている1人。そんな人間を二度と生まないためにも、若い職員同士、大いに交流してください」と歓迎しました。
■被爆者、市民社会と連帯
長崎原爆被災者協議会の田中重光会長もあいさつ。「私たちは74年前、生き地獄を体験し、その後も差別や偏見で苦しめられました」と、白血病にかかり自らいのちを絶った恩師や、子や孫の障害について語りました。平均年齢82歳を超えた被爆者が、今も被爆者認定を求め裁判をたたかっています。一方、この10年、長崎の原爆資料館を訪れた政府関係者はいないと指摘。「核兵器がなくなるまで、いっしょにがんばりたい」と連帯を呼びかけました。
韓国から医師、歯科医師、薬剤師など20人も参加。代表して健歯のチェ・ミンソックさん(歯科医師)が、経済・外交問題で悪化する日韓関係に触れ「こういう時こそ草の根の市民の連帯が大事」と強調しました。日韓の政府は対立しているように見えて、日米韓の軍事的関係のもと、いずれも核兵器禁止条約を批准していないと指摘。「私たち市民の平和を求める声が世界に響くよう、ともにがんばりましょう」と訴えました。
■民医連は平和な文化も守る
各地協を代表し北海道、埼玉、神奈川、愛知、京都、広島、宮崎の参加者がリレートーク。福島と兵庫も飛び入り参加し、各地の平和のとりくみや、核兵器廃絶へ向けた決意などを語りました。
北海道の石山純希さん(介護福祉士)は、利用者200人が安倍9条改憲NO! 3000万人署名に協力してくれたと報告。ある利用者は、「若い人は戦争を知らなくて幸せ。でも、その怖さも知らない。戦争を知らない政治家が9条を変えようとしている」と話しました。「唯一の戦争被爆国で、福島第一原発事故を経験してなお、禁止条約に背を向ける日本に疑問を感じる」と石山さん。
宮崎の井上奈津子さん(1年目研修医)は、「太平洋戦争は国民が国を止められず、世界の人びとが核兵器の使用を止められなかった戦争でもある」と、戦争させないために市民ができることを学ぶために参加。開会総会で各国代表が強調した市民社会の力や、分科会で反核平和の輪を広げる文化の力を学び、「生活の中に文化は生まれる。住民の生活を守る民医連の医療活動は、平和に向かう文化を守る活動でもある。そんな医療をしたい」と語りました。
長崎民医連の職員と共同組織でつくるコーラスグループ「月夜の小径のクローバーズ」は、合唱を披露し、会場を盛り上げました。
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核兵器禁止条約の批准国は、発効条件の半数の25カ国になりました。ヒバクシャ国際署名は941万筆超で、うち民医連は59万7654筆(6月末現在)。福井から初めて参加した衣目(ころめ)美咲さん(事務)は、「長崎市長が語った、被爆者がいない時代の始まり、という言葉が印象的。地元で参加した平和行進は少し恥ずかしくもあったけど、そんな活動ひとつひとつを大事に“伝える”必要がある」と感想を語りました。
(民医連新聞 第1699号 2019年9月2日)