日本で働く外国人 ~SNS相談室から~ (10)あなたのまわりの外国人 文・写真/榑松 佐一
ここまで外国人実習生のことを書いてきましたが、増えているのは実習生だけではありません。大戦中に日本に連れられてきた中国、朝鮮籍の人とその子孫も増えています。2008年のリーマンショックによる派遣切りではブラジルやペルーの日系人がたくさんいました。
教員、通訳、技術など専門労働者と実習生、特定技能の単純労働者がいます。厚労省は留学生も労働者数にカウント。この数年で倍増し、さまざまな在留資格で増えています(図)。
外国人は在留資格により滞在年数や家族を連れてこられるかなどの入国条件が違います。働く職種の制限や労働時間も違い、年金、健保の加入条件、生活保護など社会保障も違います。住居の確保や、病院での言葉、子どもの学校や就職の問題も起きます。近年は介護を必要とする外国人も増えています。
社会問題になった留学生は「資格外活動」という在留資格で週28時間(長期休業期間は週40時間)働くことができます。東京福祉大学名古屋校では定員の5倍も入学させ、夜間の総菜工場などで長時間労働をさせていました。
■避けられない労働力不足
まもなく後期高齢者となる団塊の世代はひと年齢250万人。一方、昨年の出生数は99万人。昨年生まれた子が子どもを産む年齢になり、その子どもが働くまではさらに20年。人口減を止めるには、女性1人が5人産まなければ追いつかない計算です。今後40年間、人口は減るばかりです。社会のあらゆる部面で労働力が足りなくなります。すでに地方の介護施設では外国人労働者の受け入れが喫緊の課題になっています。そのためには「労働力」ではなく、同じ人間として共生していくことが大切です。(続く)
くれまつ・さいち 愛知県労働組合総連合議長、1956年生まれ。著書に『外国人実習生「SNS相談室」より―ニッポン最暗黒労働事情』など
(民医連新聞 第1698号 2019年8月19日)