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民医連新聞

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相談室日誌 連載467 救急搬送の無保険患者が増加 限度額認定証発行しない自治体(北海道)

 当院は、1日20台以上の救急車を受け入れている2次救急を担う病院です。毎週、保険証のない人が救急搬送されてきます。Aさん(50代男性)は、呼吸苦を主訴に救急搬送、心不全と診断され入院になりました。Aさんは国保加入の対象ですが保険料を滞納。運転業務などで収入はありましたが、この1カ月は体調も悪く仕事もできない状態でした。
 札幌市は、資格証の人や保険証のない人が救急搬送されても、すんなりと保険証を発行しません。ひとり暮らしなど支援者がいない場合、ソーシャルワーカーが委任を受けて保険証発行の手続きと交渉をしています。最近は限度額認定証も発行されないことが多く、支払いが高額になる事例もあります。
 Aさんの事例では、ソーシャルワーカーが委任を受けてB区役所と交渉し国保証の発行を受けましたが、「滞納額を全額納付しなければ限度額認定証は発行しない」の一点張りでした。別のC区役所では「5万円ずつ払え」と言われることもあり、同じ札幌市内でも各区役所で限度額認定証の発行基準はバラバラです。
 Aさんの事例では、北海道生活と健康を守る会と連携し、本人の生活実態を把握、過去の国保をめぐる交渉経過を確認し、Aさんとともに区役所と再交渉しました。その結果、5000円ずつ払うことを約束し、限度額認定証(区分オ・上限3万5400円)が交付されました。窓口一部負担金は無料低額診療事業を利用することになりました。限度額認定証が発行されなければ、20万円ほどの自己負担になります。Aさんは、ほかの病院だったらお金のことや保険証がないことが心配で、「治療をやめてくれ」と叫んでいたかもしれません。
 多い時には1日に3人も保険証のない人が来院します。ほかの救急病院ではどうなっている? 勤医協へ誘導されている? そもそも国保料が高すぎる! 基準があいまい! など、さまざまな疑問や憤りを感じ、民医連の出番と捉えてアクションしています。

(民医連新聞 第1696号 2019年7月15日)