被害者救済の抜本的見直しを 旧優生保護法国賠訴訟判決を受けて
全日本民医連は、6月6日、藤末衛会長の以下の声明を発表しました。
5月28日、旧優生保護法下で不妊手術を強制された宮城県の女性2人が国を相手に損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は、旧優生保護法は違憲との判断を示す一方、救済を怠ってきた国の責任を認めず、2人の賠償請求を棄却した。
判決は、「子を産み育てるかどうかを意思決定する権利(リプロダクティブ権)」を、憲法13条にもとづく基本的人権として認め、旧優生保護法下での強制不妊手術が、「子を産み育てる意思を有していた者にとってその幸福の可能性を一方的に奪い去り、個人の尊厳をふみにじるもの」とした上で、同規定が「憲法13条に違反し、無効である」とした。しかし、原告の賠償請求については、20年の除斥期間の規定を適用し一切認めなかった。
さらに、被害者救済のための立法措置を講じてこなかった国の責任を、リプロダクティブ権の司法判断の機会がなかったことなどを理由に不問とした点も重大である。
政府は、違憲判断を重く受けとめ、被害者の真の救済と尊厳の回復に向け、抜本的な対策を講じるべきである。
4月に成立した一時金支給法は、旧優生保護法が「合憲」だったという認識を前提に、補償対象の限定(本人のみ)、当事者への制度の周知方法、被害認定のあり方など、被害者や家族の願いと大きく乖離(かいり)した内容のまま実施された。1人一律320万円という一時金の支給金額も被害者に向き合う水準とは到底いえない。
今回の違憲判断をふまえ、個々の被害者への確実な制度の周知や補償額の再検討など一時金救済法の改正・改善をはじめとする救済措置全体の見直しを早急に行うことが必要であると考える。
(民医連新聞 第1695号 2019年7月1日)
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