戦闘機より医療と福祉に 野党共闘で政治を変えよう! 岩手 川久保病院
7月の参議院選挙に向け、32の1人区で市民と野党の共闘が実現しました。岩手県では元パラリンピック選手の横沢たかのりさんが立候補の予定です。北海道・東北地協のリハビリ技術者交流集会で記念講演をするなど、民医連とつながりのある人。リハビリ職員も熱い思いを寄せています。(丸山聡子記者)
「私、横沢さんと同じ矢巾町出身なんですよ。小学生の頃、学校に話しに来てくれた横沢さんが印象に残っています」と言うのは、入職5年目の吉田詩織さん(作業療法士)。7年目の盛内優和さん(理学療法士)は、「地元のイベントでもよく見かけます。障害を持つ人は出歩く機会が減ってしまいがちだけど、外へ出て地域の人と交流している姿を見て、地域の声を国会へ届けられる人だと感じた」と話します。
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4月25日に同院で開いた集会には、50人の職員が参加。こうした集会に初めて参加する職員の姿もあり、横沢さんの話に耳を傾けました。2日後の岩手民医連の定期総会にも駆け付け、5月15日には浮田昭彦県連会長と10項目の政策課題について合意しました。安保法制撤回や安倍政権による憲法改悪阻止などに加え、「医療・介護サービス抑制を加速させる消費税増税の中止」「誰もが医療や介護を受けられる受療権と健康権を守り、医療・社会保障制度の改善と拡充を目指す」「医療・介護職員の働きやすい環境づくりを目指す」などが並んでいます。
■人にやさしいまちづくり
職員が期待を寄せるのは、「弱い立場の人が安心して生きられる、人にやさしいまちをつくりたい」という横沢さんの信念。民医連がめざす「無差別・平等の医療・介護」とも通じます。
吉田さんが働く病棟には、退院後の行き先が見つからない患者も多くいます。お金が払えず十分な介護保険サービスを利用できなかったり、老朽化した持ち家があるために生活保護が認められなかったり…。「症状も生活背景も一人ひとり違う。それぞれに合った支援があれば、地域で安心して生きていけるのに」と吉田さん。
「介護保険スタートと同時に入職した」という髙橋由紀恵さん(理学療法士)は、「福祉用具の利用の要件が年々厳しくなるなど、介護保険がどんどん使いにくくなっている。お金がないと医療も福祉も遠いものになってしまう」と懸念します。藤原宏太さん(作業療法士)は患者が退院する際、自動車の運転ができるか否かの評価をしています。「運転は困難だと判断した人でも、タクシーは高い、バスは家の近くを走っていないなど、移動手段の問題は本当に深刻。低料金で使える交通パスや公共交通機関の整備をすすめてほしい」と要望を語りました。
■無差別・平等の社会つくろう
こうした願いに背を向けるのが安倍政権。最近は、“2000万円不足”と報じられた年金についての不安を患者から毎日のように聞きます。盛内さんは「若い人は大変ね、私たちが長生きしてしまったせいね、と患者さんに言われ、高齢者にそんなことを言わせる政治に腹が立った」と言います。藤原さんも、「年金をもらえないなら、年金保険料は払いたくないというのが本音。政府は1機115億円もする戦闘機を100機以上買うと言うんだから、お金がないわけじゃないのに!」。
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岩手民医連では、昼休みを使った「選挙カフェ」も計画中。全日本民医連がつくったアニメなども視聴し、「選挙に行こう!」と呼びかけます。
盛岡医療生協理事長で川久保病院リハビリテーション科科長の尾形文智医師は、「患者・利用者の多くは、『年金が足りないから2000万円貯金しろ』と言われても無理。今の政治が続く限り『無差別・平等』の社会は実現できない。政治を変えよう、の声を広げたい」と話していました。
(民医連新聞 第1695号 2019年7月1日)