参院選目前!! 私が政治に 言いたいこと
7月に3年ぶりの参議院議員選挙が予定されています。参院議員の任期は6年。3年ごとに半分が改選(124議席)となります。安倍政権が「なんとしても!」とねらう憲法9条改悪を許すのか、辺野古の新基地建設は? 医療や介護で働く私たちの暮らしは良くなる? 貧困問題や原発再稼働は…? そこで、民医連職員の皆さんに聞いてみました。「私が政治に言いたいこと!」
5月15日、全日本民医連は国会への要請行動にとりくみました。首都圏を中心に、北海道や愛知、岡山など12県連から112人が集まり、地元出身の議員などを訪ね、社会保障制度の拡充や憲法9条改悪反対などを要望しました。
■働く人も利用者も悲鳴
民医連新聞編集部は、参加者に「夏の参議院選挙 あなたが気になる社会問題は?」と問うシール投票を実施しました。断トツはやはり、「医療・介護の充実」。話を聞いてみると…。
●小松操さん(神奈川・介護福祉士) 介護の仕事は好きです。自分でプランをたててケアをし、利用者さんのADLが改善したときは本当に嬉しい。一方で、利用料が払えずリハやデイの回数を増やせない利用者さんも。もっとサービスを増やせれば元気になるのに、と歯がゆい思いをすることもあります。長期に入所している利用者さんの家族が利用料を払いきれなくなるケースもあります。
介護職の給与は低くて、一般企業で働く後輩の手取りが入職3年目の私より高かったり、先輩が辞めたあと、新しい人が入らなかったり。介護職の処遇を改善して、現場の人手を増やしてほしい!
介護現場で働く人の給料は平均で23万6337円。全産業の平均33万3800円と比べ、10万円近く低い。こうした中、介護職をめざす人が減り、介護の専門学校では定員割れが続いています。現場では、いくら求人を出しても人が集まりません。
人手不足と介護報酬の低さから、介護事業所の倒産・撤退が相次ぎ、2016年からは3年連続で100件超の事業所が閉鎖しています。
●木守雄一郎さん(京都・介護施設事務) 介護報酬の引き下げで介護施設の倒産が相次ぎ、行き場のなくなる利用者さんたちがいます。介護認定も厳しく、生活援助の回数は減らされ、介護の負担が家族にのしかかっています。家族が働けなくなり、経済的困窮に陥る人もいます。家族の負担を軽くするように介護保険を改善し、すべての高齢者が安心して暮らせる社会になってほしいです。
2000年にスタートした介護保険。当初、65歳以上の介護保険料は全国平均で2911円でした。3年ごとの見直しを繰り返し、2018年の改定では全国平均で5869円! と倍増です。
一方で要支援の人のサービスを介護保険から外して総合事業に移行したり、特別養護老人ホームの入居要件を「要介護3以上」とするなど、軽度者を介護保険から排除する傾向も強まっています。まさに「保険あって介護なし」!
■安心して受けられる医療に
医療の現場では―。
●森優さん(京都・事務) 受付で「医療費が高い」という患者さんがいました。受診に来られる人でも高いと思うのだから、経済的な問題で受診できない患者さんもいると思います。医療制度のあり方やいのちのあり方は政治に直結する問題です。憲法25条の充実で、すべて国民が健康で文化的な生活を送れるようにしてほしい。
また、全国でも医師不足が深刻です。医師の増員は待ったなし!
●青柳奏美さん(東京・看護師) 東葛看護専門学校を卒業し、4月に入職しました。病気を予防するための食生活改善と言われても、生活困窮者にはとても無理。お金のある人だけ医療にかかれるのはおかしい。退院してもお金がなく、施設にも自宅にも戻れない現状も変えなくては。医療費の無料化に向けてがんばってくれる政党、候補者を支持したいです。
高すぎる保険料を払えず保険証を取り上げられたり、保険証があっても窓口負担が心配で通院できない、という人が増えています。全日本民医連は2005年から毎年、「経済的事由による手遅れ死亡事例」調査を実施。2018年度、早期に適切な治療を受ければ助かったはずの77人の命が、受診が遅れたために奪われました。
今でもお金のあるなしで医療にかかれない人がいるのに、政府は医療や介護の負担増を続けてきました。75歳以上の後期高齢者の窓口負担を、今の1割から2割に引き上げようとしています。千葉民医連が192人の75歳以上の人に「2割になったら受診できるか」と聞いたところ、14・1%が「難しい」と答え、52・1%が「不安」と答えました。これ以上の負担増を強いれば、さらに多くの命が奪われかねません。
●柳本瑠奈(北海道・検査技師) 入職したばかり。当院検査課の新卒採用は二十数年ぶり。先輩から「現場の声を国会に届ける様子を見てきて」と送り出されました。
医療・介護につながれずにいる人がいます。私自身、喘息持ちなのに裕福な家庭ではなかったので、あまり病院にかかれませんでした。だから、参議院選挙で実現したいことは、「誰でも気軽に病院にかかれる社会に!」。
教育の無償化=いいことと思っていたけれど、行動前のミニ学習会で、その中身は不十分なことを知りました。ニュースを見るだけではわからないと実感しました。
(民医連新聞 第1693号 2019年6月3日)