「総がかりで守ろう」いのちくらし 東京/板橋民主商工会 副会長 小林 昭子さん
多彩な人たちと手を結び、総がかりで社会保障を守ろう―。今回は、東京の板橋民主商工会副会長で行政書士の小林昭子さんです。中小業者支援と、10月からの消費税増税10%の中止をもとめ、地域で運動の先頭に立っています。(長野典右記者)
消費税10%NO!政治は変えられる
1978年に東京都板橋区随一のアーケード商店街として誕生したハッピーロード大山商店街には、1日3万人のお客さんが訪れます。しかし、魚屋、肉屋、八百屋という生鮮三品をあつかう店をはじめ、多くの中小業者の店が閉店、廃業で、街の姿が変わりつつあると小林さんは語ります。売り上げ減少の影響もありますが、病気、老々介護、後継者不在で店が維持できなくなっています。閉店した店舗に入ってくるのは、店舗を貸し出し、1週間単位で出店が変わる「セブンデイズ」という週貸し形態。顔なじみで地域に根付いた店での買い物が困難になっています。また解散した別の商店街は、街路灯をLED化したものの電気代が払えず取り外すと言われ、防犯上街路灯を維持するために町会で引き受けてほしい、と言われるなどの問題も起きています。
■短期のポイント還元
小林さんは、板橋区で「消費税10%ストップ! ネットワーク」の呼びかけ人になりました。「賃金も上がらない、年金生活者の窮状、地域が疲弊している状況で消費税を10%に上げるべきではない」と93商店街の団体署名を呼びかけ、個人署名も100近く、賛同者を集めました。「キャッシュレスでポイント還元と言ってもわずか9カ月、プレミアム付き商品券といっても3歳半以下の子どもがいる家庭と住民税非課税世帯が対象で6カ月。いったいどれだけ効果がでるのか。そんな増税なら最初からやめればいい」ときっぱりいいます。複数税率で店の現場は大混乱になることは目にみえています。
そもそも消費税は所得の低い者は負担が重い不公正税制。大企業は海外でものを販売した場合に還付される輸出戻し税という制度もあり、税率が上がれば還付金も増えます。先日の日銀の金融政策決定の会合で、「景気後退への動きが強まっていく可能性があり懸念される」と政府も消費に悪影響を与えることを認めています。
■国保料引き下げを
今回の増税では、インボイス制度が導入され、これまで売り上げ1000万円未満は免税事業者となってきたのが、その対象から外されます。あらかじめ税務署に申請して課税事業者を選択し、登録を受けた事業者(適格請求書発行事業者)が発行する請求書でないものへ支払った経費は、仕入税額控除が受けられなくなります。小林さんは「消費税のしくみが複雑になり、中小業者はやっていけない」と訴えます。
また板橋区の国保料は、東京23区でも高く、上位にあります。子どもにまで保険料の負担をかける均等割はやめさせるべきです。「子育て支援といいながらやっていることは本末転倒。軍事費の増大やアメリカの武器を高い値段で買っている場合ではない」と小林さん。
「この4月から商品の便乗値上げを政府がすすめ、安倍政権は悪政のオンパレード」「安倍内閣退陣が一番大切」と国会行動にもかけつけています。
■対話で署名広がる
これまでの活動で先輩の役員や事務局員から多くのことを学んできました。常に「不言実行」という言葉を胸に活動をつづけています。活動に力を尽くす役員などの姿を見て、「元気な私ががんばらずにどうする」と地域をまわり、相談に応じています。
「対話をすれば署名を断る人はいません。10%に増税されると、地域の中小業者はつぶされます。増税は絶対に許しません」「私たちが声を上げれば政治は必ず変えられる」と、今日も署名を持って、地域を駆け巡っています。
(民医連新聞 第1690号 2019年4月15日)