特養あずみの里裁判 不当判決ただちに控訴 介護現場の実態を無視
2013年12月、おやつのドーナツを食べた後に急変し、その後死亡した入居者の女性に対して、注意義務を怠ったとして業務上過失致死に問われた特養あずみの里業務上過失致死事件裁判。3月25日、長野地方裁判所松本支部は求刑通り罰金20万円の不当判決を言い渡しました。
検察側は十分な根拠もなく女性の死因は窒息であるとし、看護職員がゼリーを配膳するべきだったのに確認義務を怠ってドーナツを配膳し窒息を引き起こしたと主張。弁護側はドーナツの状態から窒息はなく、死因は脳梗塞や心疾患など別の疾患の可能性があったことや、おやつの形態変更を確認する義務はなかったとして無罪を訴えてきました。
長野県内の介護、医療の関係者でつくる無罪を勝ち取る会は、このような事例で職員が刑事罰に問われることになれば介護現場は萎縮し、人間らしい介護を受ける権利が奪われかねないと、無罪判決を求める署名約44万5000筆を同支部に提出するなど運動を広げてきました。弁護側は判決を不服とし、ただちに控訴しました。
判決後の報告集会には420人が参加。弁護団長の木嶋日出夫弁護士は「弁護人の主張を完全に無視した、しかも事実認定に関して説得力のない判決。控訴して徹底的にたたかいます」と引き続き支援を呼びかけました。また長野県看護協会会長の松本あつ子さんが「このような裁判で看護師が罪に問われることはあってはいけない。引き続きともにたたかっていきます」と述べました。
当該看護職員は「残念な結果になりましたが私は負けません。あらためてご支援をお願いします」と語り、拍手に包まれました。最後に無罪を勝ち取る会の小林作榮会長から引き続きの支援の行動提起がありました。
(民医連新聞 第1689号 2019年4月1日)
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