乳腺外科医師は無罪 東京地裁で判決 運動と支援が勝利の大きなささえに
2月20日、乳腺外科医師えん罪事件で東京地裁は、「事件があったとするのは合理的な疑いがある」とし、無罪判決を言い渡しました。この事件は東京・柳原病院で右胸から乳腺腫瘍を摘出する手術を執刀した外科医師が、女性患者から「術後にわいせつな行為をされた」と訴えられたもの。弁護側は女性が術後せん妄の状態にあり幻覚をみた可能性が高いこと、科学捜査研究所(科捜研)によるDNA、アミラーゼの鑑定はずさんで、患者の胸に付着していた微物から検出されたアミラーゼおよび外科医師のDNAは手術前の診療行為により付着していた可能性があり、わいせつ行為の証拠にはならないと主張していました。
判決で、「女性はせん妄の影響で性的幻覚を体験していた可能性がある」、アミラーゼの付着は「手術前の触診や会話中に唾液のしぶきが飛んで付着するなどした可能性が否定できない」と述べました。
また科捜研のずさんさも指摘。DNA定量検査の抽出液の大半を年末の大掃除で廃棄したことで再現実験ができなくなったこと、鑑定経過の資料は鉛筆書きで、書き換えた部分が少なくとも9カ所あったことを批判しました。
判決報告集会で、小口克巳弁護士は「運動と結びついた画期的な判決。1000万円を超える募金が弁護側の科学的立証にも寄与できた」とあいさつ。また外科医師を守る会事務局長の窪田光さん(東京・健和会事務局長)は「全国からの支援で無罪を勝ち取ることができた。控訴を断念させるために引き続き支援をお願いしたい」と述べました。
(民医連新聞 第1687号 2019年3月4日)
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