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民医連新聞

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宮城 女川原発再稼動の是非を問うための署名活動 みんなで決める県民投票を

 東日本大震災で宮城県の女川原発も被害を受けました。68%の県民が原発再稼働に反対を示す中、東北電力は再稼働に向けて工事をすすめています。あとは地元の同意のみです。しかし「県知事の同意=地元の同意」とされ県民の意見が反映されないことも。「女川原発再稼働の是非は、県民投票で決めよう」と宮城民医連も立ち上がりました。
 (代田夏未記者)

 「女川原発再稼働に賛成の人も反対の人も県知事に任せるのではなく、県民一人ひとりが当事者として、責任を持って選択しよう」。女川原発再稼働の是非を県民投票で決めるために、18年10~11月の2カ月間、宮城民医連も署名活動にとりくみました。
 その結果、必要な署名数の3倍近い、11万1743筆を集めました。これは県内有権者の5・8%にあたる署名数です。2月8日、署名を持ち村井嘉浩知事に「県民投票条例」の制定を求める「住民直接請求」を行いました。

■県民の声で決めよう

 きっかけは2017年の県知事選挙。候補者の多々良哲さんが「女川原発の再稼働に同意しません。十分な検証と情報公開のもと、県民投票を行います」と政策にかかげました。当選には至りませんでしたが、女川原発の問題が浮き彫りになりました。
 東北電力は再稼働に向け安全対策工事を行い、原子力規制委員会の安全審査も急ピッチですすめています。あとは地元の同意だけ。しかし、県知事の同意が地元の同意とされ、県民の意見が十分に反映されない可能性があります。
 そこで、再稼働の是非を県民で決めようと、県民投票を求める活動がはじまりました。多々良さんを代表に「女川原発再稼働の是非をみんなで決める県民投票を実現する会」を立ち上げました。
 県民投票までの流れは図の通り。2カ月で有権者の50分の1(約4万人)の署名が必要です。

■受任者が達成のカギ

 宮城民医連も事務局を立ち上げ、署名活動をはじめました。実現へのカギは「受任者」。受任者とは署名を集める協力者で、署名は受任者と同じ市区町村から集めます。ほかにも厳しい条件があり、代筆は認められず、押印も必要です。
 まず、署名数と受任者の目標を定めて、県民投票を知ってもらうためにすべての事業所、職場で学習会を開催。週1回のニュースでは、署名数や受任者の人数を発信。事務局を務めた宮城民医連の熊谷義純さんは、「女川原発は東日本大震災で被災し、適合審査は5回も延期。これは問題があるということ。暮らしを守るため、まず県民投票を知ってもらおうと学習に力を入れた」と話します。
 各事業所でも、健康まつりや、会計を待つ患者に声をかけて署名を集めました。患者自身が受任者となり、署名を集めてくれたことも。事業協同組合では、取引業者へ学習会を開き、協力を得ることができました。ピーチャリでも、多々良さんの講演や街頭宣伝を行いました。

■未来のための署名活動

 (有)みやぎ保健企画のセントラルキッチン事業部では、正職員全員の38人と大勢のパート職員から4人が受任者になり、目標の350筆を上回る481筆を集めました。製造管理部部長の相澤光さんは「普段からさまざまな運動への参加や学習に力を入れている」といいます。「日常的な呼びかけと、震災で原発の問題を身近に感じていたため、一人ひとりが積極的に受任者になりました」。
 職員全員が患者や地域、パート職員への署名の協力を呼びかけました。取引業者へも呼びかけ、各地域の署名用紙を絶えず用意しました。「署名に戸惑う人も、署名の意義を理解している職員のていねいな説明を聞き署名してくれた」と経理の青田善久さん。
 管理栄養士の渡邊恵子さんは80筆もの署名を集めました。原水禁世界大会に参加したことで平和への関心が高まり自発的に活動しました。渡邊さんは「県民の原発に対する関心が高いとわかった。自分たちの暮らすまちの安全、安心、子どもたちの未来のためにこれからも活動を続けたい」と話します。

*  *  *

 2月13日、条例案の意見公表で村井知事は賛否を表明しませんでした。多々良さんは「後ろ向きな姿勢が読み取れる」と話しました。2月21日、村井知事は意見書をつけて県議会へ提出、3月15日に採決の見通しです。

(民医連新聞 第1687号 2019年3月4日)