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民医連新聞

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診察室から 石綿被害救済制度

 悪性中皮腫(49歳、男性)の患者が、四国がんセンターから紹介されてきました。胸腔鏡で肺生検をし、確定診断ができたそうです。抗がん剤の効果がないので緩和ケアに移行し、当診療所がある新居浜で、少しでも母といっしょに過ごしたいとのことでした。
 職歴を聞くと、「建設機械の営業をしていたため、建設現場には行ったことがあるが、石綿作業はしていない」と言いました。私は、労災申請は難しいと言うと、悪性中皮腫の救済の申請を、四国がんセンターの主治医がしてくれているとの話でした。
 その患者は、退院してから1週間で、自宅で死亡しました。
 続いて肺がんの患者(78歳、男性)が紹介されてきました。骨転移の放射線療法後の在宅医療を希望とのこと。紹介状に同封されたCD―ROMを見ると、バリバリの石綿肺でした。職歴を聞くと、石綿作業をしたことはある一方、ひとり親方の請負で、労災保険には加入していないとの話でした。
 石綿と肺がんの因果関係は証明されているので、何か救済制度があるかも知れないと思い、検索すると、「石綿被害救済制度」があることがわかりました。悪性中皮腫の患者の言っていた制度でした。肺がんで、石綿暴露が原因であることを示す医学的所見があれば、認定されることがわかりました。300万円程度が支給されます(詳細は検索を)。
 同封されたCD―ROMからデータを抽出してCD―ROMを作成したり、肺がんと診断した医療機関の病理診断書のコピーを手に入れ、独立行政法人環境再生保全機構に送付したりする必要がありました。少し手間がかかりましたが、無事申請できました。そして、申請が認められ、新たな保険証が自宅に送られてきました。医療費自己負担はありません。
 患者の利益になることはどんどん利用したいと考えています。愛媛県では、身体障害者2級が認められれば医療費自己負担はなくなるので、対象患者には取得するよう積極的に勧めています。
 (吉田克己、愛媛・泉川診療所所長)

(民医連新聞 第1686号 2019年2月18日)

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