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民医連新聞

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ひめは今日も旅に出る(21)「2018、ある闘いの真実」

 「オムツを使わないのはわがままなんじゃないですか?」
 自治体職員から発せられたひと言だった。前号で紹介した2人介助の申請時、ケアマネさんが担当職員との交渉中に、言われたという。それを聞いたとき、クラクラするほどのめまいがした。衝撃だった。
 リフトを使い、トイレや車椅子に移乗している私に、オムツを使えば移動はいらない、2人介助は不要と言わんばかり。人間としての尊厳がこんな形で傷つけられていくことに身震いするほどの憤りを覚え、慟哭(どうこく)した。
 手助けがあればポータブルトイレで排泄できる。これがわがまま?同じ人間なのに、とんでもなく見下されているのはなぜ? 私らしく生活することをサポートする制度を申請しただけなのに。そもそも制度は誰のためにある? 自治体職員は何のために働いているの?
 障害者になって初めて遭遇した、理不尽な事件だった。見過ごせるわけがない。職員のこんな発言が今までスルーされてきたことも大問題。よく考えれば、私も含めた障害者全体にむけて発せられた言葉だからだ。
 しばらくして、担当課長と衝撃発言をした担当職員に自宅に来てもらい、ケアマネさんも同席のうえ、話し合いの場を設けた。最初、「経験不足で、気遣いが足りなかった」を連発した課長。担当職員にいたっては発言の事実を認めなかったが、ケアマネさんが「今でも鮮明に覚えている」と証言し、発言内容を否定できず謝罪した。私は、担当者だけの問題ではなく行政としてのあり方を問い直す機会にしてほしい、人権感覚を育てる職員教育を、社会福祉制度に精通し住民サービスの向上をと、その場で要望した。
 その後、サービス担当者会議に自治体職員が参加するという変化があり、1歩前進した。現在、重度訪問介護は月439時間となった。朝日訴訟がたたかわれたわが町。人間の尊厳をかけてたたかった朝日茂さんからのエールを感じながら、私らしく生きていくために、声をあげ続けたい。


文●そねともこ。1974年生まれ、岡山県在住。夫・長久啓太、猫2匹と暮らす。2016年、ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断をうける。

(民医連新聞 第1685号 2019年2月4日)