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民医連新聞

民医連新聞

幹部が先頭に立ち 全員参加の経営で困難打開を たたかいの中での経営戦略など議論 2018年地協・県連経営委員長・経営幹部会議

 昨年11月27~28日、2018年地協・県連経営委員長・経営幹部会議が東京都内で開かれました。45県連、110法人から244人が参加しました。全日本民医連経営部の問題提起を中心に、入江敬一事務局次長の報告です。

 会議の目的は、(1)地協・県連経営委員会の機能強化によって経営分野のとりくみの水準を引き上げる機会とする、(2)民医連綱領に掲げた目標に立ち返り経営戦略を再構築するための議論を深める、(3)民医連経営の方針や問題提起における全国の実践状況と課題を交流する、(4)管理運営課題、医師労働課題、人材確保と育成など経営にかかわる重要課題についての論議を深める―の4点です。

問題提起

経営の現状を共通認識に 職員を信頼して改善にとりくもう

 問題提起は全日本民医連経営部の阿南陽二部長と塩塚啓史副部長が行いました。冒頭に、今回の提起の核心は「経営幹部の役割の発揮が私たちに突きつけられている課題」「全職員参加の経営の力を発揮することこそが経営困難打開のカギ」であると強調。経営幹部には、提起を受けた議論・検討、職員に向けた発信が求められること、民医連の連帯の力を生かして相互に学び合い、知恵と力を結集する立場での積極的討議と交流を、と呼びかけました。以下、問題提起の概要です。

* * *

 経営の現状に対する認識について、自らの法人はどうなっているのか、具体的に認識し、職員集団に伝えていかなければなりません。全日本民医連経営部として、この認識の不十分さが経営困難打開のとりくみの不十分さと結びついていると考えています。幹部には、責任と権限、説明責任の3つが大切です。全体の傾向や特徴、自県連、法人の経営実態をつかみ直し、事実を職員との共通認識にするよう努力しましょう。
 民医連はこの数十年間、当面の経常利益目標を利益率3%以上としています。残念ながら、民医連経営の合計値平均で3%を超えたことは一度もありません(グラフ)。2017年度は経常利益率0・5%でした。とりわけ13年度以降、1%に届かない状態が5年間続いており、経常利益予算を達成した法人は148法人中42法人しかありません。必要な利益を予算として設定していることを前提とすれば、不足分は次年度以降の計画で利益の上積みをめざすか、なんらかの計画変更など手立てを講じることになります。こうした損益の状況を背景に、資金的困難は深刻化しています。予算の利益未達成は重大な問題だという認識を今一度受け止めましょう。
 この間、経営改善を実現した法人の教訓のポイントは、管理運営の改善を通して、基本的で原則的なことを幹部が先頭に立って実践したことに尽きます。職員集団への確固たる信頼をもとに、経営幹部が今までの延長線での認識やとりくみを脱し、固い決意で改善に挑む姿勢が問われています。

民医連の到達点を学び生かす

 問題提起の表題は「民医連の到達点を生かし、経営困難を突破しよう」です。改善の具体策や展望は、私たちの豊かな実践の中に必ずあります。困難な人びとに寄り添い、地域の医療・介護の要求や期待に真摯に向き合う私たちの実践は、浮き沈みはあっても、理念と実践を追求する限り、経営的にも必ず成功すると考えます。問題提起を受けて大いに議論し、民医連の方針として練り上げましょう。
 民医連綱領の示す目標の中に、経営改善や経営戦略の方向があることを今一度確認しましょう。綱領前文と6つの目標は、どれも経営課題と結びついています。全日本民医連の方針として提起されている「医療・介護活動の2つの柱」も、民医連綱領の課題と言えます。
 日本の医療機関の多くが赤字となる中で、相対的に民医連の経営が踏ん張っているのは、民医連統一会計基準、事業所独立会計など経営の基本的なしくみづくりに努力してきたこと、職員集団の献身性、協同基金、出資金、建設協力債などの大衆資金にささえられてきたからです。管理会計、予算管理の民医連の到達点をもう一度学び、生かすことを提起します。
 しかし、この間の調査や経営検討会から、到達点や教訓が十分に生かされていないという問題意識があります。陳腐化、形骸化していないか、自法人の到達点、改善すべき点を明確にし、とりくみをすすめることが必要です。
 地協、県連と地協・県連経営委員会の機能強化について提起しました。経営委員会だけでなく、県連理事会、地協運営委員会や地協県連事務局長会議の機能強化の必要性について、特に強調しました。県連や地協の機能強化は経営委員会強化の基礎です。誰かがやってくれるわけではなく、経営幹部の果たす役割が重要です。民医連の連帯の力を発揮して、前進しましょう。

民主と集中 経営と管理は表裏一体

 さらに、「経営課題の視点からのたたかい」を提起しました。情勢を学び、考え、見通しをつくり出し、たたかうことを方針に持つ医療機関は、民医連の他にありません。たたかいがあったからこそ、民医連経営は地域の信頼を得て、事業も拡大してきました。経営幹部が、たたかいの中に経営改善の方向を意識できているか、今一度議論を深めておくことが重要です。
 情勢との関係では、医師労働をはじめとする労働条件などの整備課題、時代の変化に対応した人事政策の必要性、人件費管理の課題などを提起しています。どれも、経営に直結する課題です。特別の意識を持って準備・検討をすすめましょう。内外の情勢の変化をしっかり認識し、着実なとりくみをすすめることが重要です。
 管理運営問題では、経営改善課題でも経営幹部の認識が出発点であること、ボトムアップには適切なトップダウンも必要なことを提起しました。「民主と集中」です。両方が適切に機能することが重要で、経営と管理は表裏一体です。
 経営が困難な時ほど大変ですが、前にすすめる作業の中にこそ、経営幹部のやりがいがあります。経営幹部が困難から逃げずに問題に向き合う姿勢が、職員集団の意識を変え、知恵を生み出すことにつながります。民医連の連帯と団結の力で、経営困難を乗り切り、新たな展望を切りひらきましょう。


記念講演、分散会

経営の醍醐味語り 事務幹部を先頭に切り拓こう

 記念講演は、全日本民医連の眞木高之副会長が「全職員の力で経営を改善に導くためには 自分が専務だったら」と題して行いました。「最も気を遣うべきは患者のいのちと職員生活に他ならない」「しんどいときこそ答えは地域にある」「経営の面白さ、民医連経営の醍醐味を伝える教育を広げてほしい」と、医師幹部から事務幹部へ率直に呼びかけました。京都保健会監事で京都民医連中央病院元看護部長の橋本節子さんは、「看護師からみた民医連経営の課題と事務幹部に期待するもの」と題して講演。「民医連経営の課題は事務幹部育成にかかっている」「先人たちが困難を切り開いて築いてきた歴史の上に現在の民医連医療・介護がある。事務幹部には、民医連組織の財産を大切にして次の世代がもっとよくなるように挑戦し、困難を切り開いてほしい」とエールを送りました。
 全日本民医連経営部民医連管理会計検討分析委員会と介護事業経営管理委員会などから報告があり、分散会を通じて議論しました。

(民医連新聞 第1684号 2019年1月21日)