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民医連新聞

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診察室から 在宅医療でエコーを使う

 前回は、在宅医療のパイオニア早川一光先生が院長だった京都の堀川病院に卒業後すぐ勤めたこと、その後、京都の赤十字病院に移り超音波専門医などとして働いたこと、昨年七月から東神戸病院に移り、在宅医療を一から修行し直していることを書きました。
 最近、ポイントオブケア超音波(POCUS・ポーカス)という言葉を聞くことがあると思います。POCUSとは、超音波を専門としない医療者が自ら患者の傍らで行う超音波検査のことです。医療者は問診、視触診、聴診を確実に行うとともに、必要な領域で超音波検査を自ら直ちに短時間で行い、後の精査・治療について判断します。これまでは救急・ICUで役立つとされましたが、東神戸病院に来てからは、在宅・外来でPOCUSを試しています。
 私は超音波医学会の消化器の指導医ですが、消化器以外の超音波検査をしたことはありませんでした。在宅・外来では全身を診るために、消化器以外の超音波の本やDVDを見たり、技師の検査を見学したり、肺・心臓・深部静脈血栓のハンズオンセミナーを受講して勉強しました。また超音波装置は在宅で便利な白衣のポケットに入るサイズのものを使いました。
 東神戸病院に移ってからの一年の間に、在宅・外来で七四〇人の患者を検査し、甲状腺腫瘍、乳がん、肺炎、心不全、閉塞性黄疸、水腎症、腹水、大動脈瘤、腸閉塞などを診断しました。特に在宅患者の心不全や肺炎の診断にとても役立っています。これからは、褥瘡(じょくそう)の早期診断や、ハイドロリリース(超音波で見つけた痛みのポイントに生理食塩水を打って痛みをとる方法)などにも使えないかと考えています。
 在宅・外来でのPOCUSのよさを多くの人に知ってもらおうと、今年七月には兵庫県保険医協会にお願いし、神戸市で講義とハンズオンをさせてもらい、五四人もの医師に参加してもらいました。来年二月には兵庫県豊岡市でも研修会を予定しています。皆さんの町でもいかがでしょうか。
 (水間美宏、兵庫・東神戸病院)

(民医連新聞 第1680号 2018年11月19日)