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民医連新聞

民医連新聞

震災から7年8カ月 原発再稼働ではなく被災者の暮らしと健康守る施策を

 東日本大震災から七年八カ月が経ちました。宮城民医連では、仮設訪問調査に続き、災害公営住宅の訪問調査にとりくんでいます。国と県が被災者への支援の縮小をすすめる中、生活への不安や健康悪化が広がっています。また、同県連は県内にある女川原発再稼働の是非を問う住民投票の実施に向けた署名にもとりくんでいます。二つのとりくみについて、現地からの通信です。

「家賃の値上げ不安」「タクシー代が負担」の声

 宮城民医連では、一〇月の四日間にわたり、「災害公営住宅」訪問調査を実施しました。三年前の仮設住宅訪問調査を合わせると、被災者の訪問調査は今年で四回目。今回は、仙台市、塩釜市、多賀城市、七ヶ浜町、松島町、利府町、東松島市の災害公営住宅で聞き取りによる調査とポスティングをしました。
 震災から七年七カ月が経過し、仮設住宅暮らしは脱したものの、災害公営住宅に入居後、家賃負担、水光熱費の負担も少なくない中、被災者の暮らし向きは厳しくなっています。現在、国の「特定家賃減免制度」の適用になっている人も、入居後六年目から徐々に家賃が引き上げられ、一一年後には通常家賃になります。
 昨年の調査では、「治療の必要な病気がある」と答えた人は全体の七割(三三〇人)。うち二六二人は「現在通院中」でしたが、「通院していない」人も二四人いました。「生活上の不安」では、「健康」「将来の家賃」「収入」と並び、「困ったときの相談相手がいない」が三割という結果が出ています。
 このような状況の中で入居している人びとの健康状態、暮らし向きなどを聞きとり、医療費免除制度の継続・復活、家賃補助の継続など、国や県、各市町への働きかけにつなげていきます。

* * *

 一〇月二〇日、松島医療生協本部に職員や組合員、約三〇人が集合。訪問調査の打ち合わせや、地図で訪問先の確認をしたあと、いっせいに訪問先に向かいました。
 普段から地域の人たちとの信頼関係が築かれているせいか、家賃や収入などデリケートな質問にも快くこたえる人が多い印象でした。突然の訪問にもかかわらず、自宅に招き入れて調査にこたえる人も。参加した職員からは次のような感想が寄せられています。
*「家賃の高騰だけは、なければいい」という意見は多い。家賃減免を求める継続したとりくみが必要だと思います。(あすと長町)
*初めて参加しましたが、災害公営住宅の周りに高い建物があり、多くの住民が日照問題を気にしていることを、すごく納得しました。被災して大変な思いをした人たちが住んでいるので、家賃の値上げはしてほしくないと切に感じました。今後もこうした活動を続ける必要があります。(あすと長町)
*高齢者の一人暮らしが多く、日中でも在宅の人が多かった。経済的な問題もさることながら、高齢者は自家用車がなく、通院も買い物もタクシーを利用せざるを得ない。タクシー券の要望が何人かから聞かれました。↓自治体への要望事項に。(塩釜市北浜)
*医療費の負担が大きいという人がほとんどで、医療費の減免制度の復活を希望する声がありました。(塩釜市北浜)
 (神馬悟、宮城民医連事務局)


女川原発再稼働の是非は県民投票で決めよう

 一〇月三日から、東北電力女川原発二号機の再稼働の是非を問う住民投票条例の制定をめざす署名活動が始まりました。宮城民医連もこの署名にとりくみ、一〇~一一月に、自分の住んでいる自治体の署名を集めます。宮城民医連の署名目標は一万筆です。
 住民投票条例を実現するには、四万人以上の署名が必要です。市民グループ「女川原発再稼働の是非をみんなで決める県民投票を実現する会(みんなできめる会)」とともに署名を集めています。
 東日本大震災であわやの大事故を起こすところだった女川原発。住民の意見を聞かず、県知事だけの承認で再稼働させるわけにはいきません。
 (田中千枝、宮城民医連事務局)

(民医連新聞 第1680号 2018年11月19日)