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民医連新聞

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ひめは今日も旅に出る(16)「ようこそ、わが家へ」

 生きるって大変だなぁと、身体が不自由になればなるほど実感する。たくさんの人のささえがなければ私の生は成り立たない。すてきな未来を描くための前向きな思考も含めて。
 お久しぶりの方から新たなご縁で出会った方も、わが家に来訪して、多彩なスタイルで私を元気づけてくれる太陽のような存在だ。
 日々かわるがわるお世話になるヘルパーさん。食べる喜びを最大限に楽しめるように、盛りつけや器にもこだわって準備してくれる。カフェのランチみたい! と自画自賛。
 ご近所さんがキムチ作った、桃や葡萄がなった、お花が咲いた、と届けてくれる。ふらっと寄っておしゃべり。忙しい夫にかわり庭の片付けまで。
 母と同い年の元気印の大先輩。ほぼ毎月、わが家でランチ会をしてくれる。時には手浴や足のマッサージ。訪問看護師さんとシャワー浴の介助も。さすが元看護師さん。母もおしゃべり弾んで楽しそう。
 医学生時代からのお付きあいが続く女性医師たち。医学生委員会の活動もともにがんばってきた。おしゃべりとまらぬお茶会、クリスマス会など、美味しいものを囲んで、楽しいひと時はあっという間に過ぎていく。それぞれのリスタートに胸が熱くなる。
 韓国スタディーツアーの仲間たちもわが家に集結。同窓会と称して、友人たちの三線ライブに始まり、気づけばうたごえ喫茶に様変わり。喉がかわいたあとは、倉敷美観地区のビアガーデンにご案内。暮れゆく大空のもと、いただく生ビールの美味しいことこの上なし。
 叔母からの絵手紙、友人から届く季節ごとの素敵なリースや各地の美味しいご馳走にも胸いっぱい。
 外出ままならず、仕事からも退き、私の歩む世界は狭くちいさいと思っていた。でも、知らなかった世界から見える景色は新鮮。たくさんの人のおかげで、彩りに満ちた人生になっていく不思議。大切なものは目に見えないってほんとだ。


文●そねともこ。1974年生まれ、岡山県在住。夫・長久啓太、猫2匹と暮らす。2016年、ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断をうける。

(民医連新聞 第1680号 2018年11月19日)