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民医連新聞

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相談室日誌 連載452 専門性を生かし地域住民とつながる(三重)

 「こんな状態になったのは、親もきょうだいも誰もいないから。仕事は人間関係で辞めた。一生懸命自分なりに今までやってきたけれど、何も報われない」。Aさん(六〇代前半、女性)は唯一の肉親であった母が死去後、ゴミ屋敷状態の自宅で一人暮らしをしていました。
 Aさんは、低体温、低栄養で当院に救急搬送され入院。気に掛けてくれていた友人Bさん(七〇代、男性)はAさんの生活費を工面し、たびたび訪問していましたが、Aさんは経済的に厳しく食事が摂れていませんでした。
 Aさんは高校卒業後、医療事務を二五年間、その後、母の介護をきっかけに一度、退職し、再び、清掃の仕事を一〇年していました。退院後、安心して生活が再スタートできるよう経済面、住まいの確保をし、福祉サービスの利用をスタートしました。
 退院後半年が経過し、「今は、作業所で掃除の仕事をしています。知り合いもでき、困ったことがあれば相談できる場所が見つかりました」と今の心境を語ってくれました。
 最近の相談室の介入傾向を振り返ると、「年齢に関係なく、社会とのつながりの薄い独居」の人たちが目立ってきています。地域で「あの人は変わった人だから」「声をかけても返事がない」といつしか誰もかかわらない関係性がつくり出され、当事者を孤立させています。
 今回、病院がかかわったことで、必要な支援につなげることができ、安心して暮らすことができるようになりました。しかし、地域ではAさんのように社会から孤立してしまっている社会的弱者は表面化していません。
 当事者が支援を拒否したり、同じ相談に何度も来たりするのは、何かしらのSOSのサインだったり、その行動をとってしまう理由が別にあると受け止め、粘り強くアプローチを実践していくことが必要と考えます。そのためには、自分たちが地域へ出向き、それぞれの専門性を生かしながら、地域住民とつながりを持つことが第一歩と言えるでしょう。

(民医連新聞 第1678号 2018年10月15日)