ひめは今日も旅に出る(14)「相棒・MOMOを得る」
このエッセイ、スマホにタッチペンで書いている。それを可能にしているのが、上肢の補助具・MOMO。ますます不自由になる身体の機能を補助具でサポートできないかと、探していたなかで出会った相棒だ。
まだ知名度が低かったMOMOの存在を知り、真っ先にリハビリさんに相談。すぐにデモ機を手配して下さった。実際に使ってみると、難なく肘が動かせ、スマホ操作がラクに。フォークの使用も。再び自由を取り戻せた。MOMOさまさまの毎日。
障害福祉制度を活用し、昨年10月末、障害者更生相談所で補助具申請の審査を受けた。岡山県で初めてMOMOを申請したこともあり、他の審査を担当されている医師もぞろぞろと集まり、審査というよりプレゼンタイムの様相に。緊張しながらMOMOをアピールしようと待っていた私はほとんど発言することなくあっという間に終了。使い心地やどんな事がしたいかなど、利用者本人の声に興味を示さない医師の姿勢に呆れた。業者の方から、「申請してくれたおかげ。ありがとう!」と感謝されたが、なんだか釈然としなかった。
そんな審査だったが、医師から補助具使用は適切と判断が下り、我が町の最終判定もクリア。本人は1割負担で購入、残る9割は公費助成。それでも3万7000円とお高い買い物だった。
こうして活用できる制度や、療養上必要な情報も基本的には自分で調べている。日本は見事なまでにすべて申請主義だ。そして申請時には必ずマイナンバーを求められる。そうしてこちらの情報をつかむわりに、お役所からはなしのつぶて。動きにくくなる身体であれこれするのは体力的にも、精神的にも大変。少なくとも、障害者手帳一級、特定疾患のあなたはこんな制度が適用になります、申請書類はこれですよ、などの具体的な情報提供があれば、かなり負担が軽減される。同病者どうしで情報交換することも大事だが、患者さんとの会話の中でニードを掘り起こし、必要な情報につなぐことも医療者としての大事な仕事だと実感した。
文●そねともこ。1974年生まれ、岡山県在住。夫・長久啓太、猫2匹と暮らす。2016年、ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断をうける。
(民医連新聞 第1678号 2018年10月15日)
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