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民医連新聞

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相談室日誌 連載451 在宅復帰支援で考える「介護離職」と「8050問題」(大阪)

 「介護離職」と「8050問題」。老人保健施設で在宅復帰の支援をしていると、この社会問題のさまざまな形態に直面します。多くは「仕事があるので、家で介護できない」というケースですが、一方ですでに仕事を辞めて介護している、長年引きこもり状態で何をしているのかわからない「子ども」がいることもあります。
 六年前、当時七〇代だったAさん(女性)は脳出血で倒れ、右半身麻痺が残り、日常生活全般に介護が必要な状態でよどの里に入所しました。在宅復帰に向けて夫と話をすると「娘が手伝ってくれるので大丈夫です」と言います。入所時に同居する無職の娘さんがいることは確認していましたが、面会はおそらく一度きり。オムツ交換や移乗の練習も夫ががんばるばかりで、娘さんの姿を見ることはありませんでした。
 それから五年。献身的な夫の介護のもと、往診や訪問看護、ヘルパー、デイケアなどと介護サービスをフルに使いながら続いたAさんの在宅生活は、今年の春、夫の突然の死で急展開しました。Aさんの介護はどうなるのか。担当ケアマネジャーを含め関係するサービス事業所が心配する中、家族の答えは「長女が一人で介護します」というものでした。五〇代の娘さんは、大学卒業後はアルバイトや習いごとをしていましたが、「今は何もしていないので母親の介護をする」と言います。私たちの心配をよそに、長女さんは「がんばります」と宣言。亡くなった夫同様に、全力投球で介護する生活が始まっています。ハプニングはあるものの、デイケアに通うAさんは「娘が車イスを押してくれて、駅まで買い物に行った」と楽しそうに話し、「娘がよくしてくれる」と心なしか以前よりも笑顔が増えたようにも見えます。
 介護する子どもがいることで在宅復帰できる人も多くいます。しかし、これでいいのでしょうか。親の介護を理由に社会から取り残される子ども。介護者としての役割が終わったあとの生活はどうなるのでしょう。支援しながら、悩む日々が続きます。

(民医連新聞 第1677号 2018年10月1日)