フォーカス 私たちの実践 共同組織拡大強化月間 兵庫・神戸協同病院 仲間増やし成功へ健診率をアップさせた放射線技師のかかわり
全日本民医連の共同組織拡大強化月間が、一〇~一一月にとりくまれます。兵庫・神戸協同病院では、放射線技師が共同組織活動に参加し、仲間増やしや健診率アップにつながっています。第一三回学術運動交流集会での放射線技師・髙橋修平さんの報告です。
出資金の出資や、かかりつけ医療機関、健診の受診先に選んでもらうなど、私たち医療生協の病院は組合員さんにささえられている病院です。しかしながら、放射線技師は病院内での医療業務に従事していると、レントゲン撮影や、胃のX線検査などで院内で会うことはあっても、地域に出る機会は少なく、組合員との距離は遠くなっているのではないかと感じていました。
■収益構造の改善
そのような背景から、昨年度は新しいとりくみとして放射線技師が直接、検査の重要性を訴え、健診の受診率のアップ、収益構造の改善など地域での病院の存在につなげることにしました。
健診で放射線技師がかかわる検査には、胸部レントゲン、マンモグラフィー、超音波検査、骨密度測定、脳MRI検査などの検査項目がありますが、患者にとっては専門的で、何を調べる検査なのかわからないとよく言われます。
そこで、専門職である放射線技師が直接検査についての説明をして、検査を正しく理解してもらい、健診を受ける重要性を伝えることが健診の受診率アップになると考えました。
■検査の理解と重要性訴え
まずは各地域で普段組合員が開催している班会に参加しました。参加している人数は五~一〇人と少人数のため、ゆっくり対話しながら、意見交換することができました。患者にとってレントゲン写真をじっくりみる機会は普段ないので、私たちの説明に対し、皆さん興味深く写真をみていました。時には脳MRI健診やマンモグラフィーについて重点的に話したこともありました。また共同組織拡大強化月間の直前には四〇〇人規模の「よ~いどん組合員集会」があり、健診受診を訴える機会としてアピールの場をもらいました。
このような活動から「骨密度は踵骨の簡易検査で測っていたが、腰椎で正確な検査をしてみたい」「マンモグラフィーを受けるのが恥ずかしかったが、乳がん検診を受けようと思う」など、健診の大切さを理解してもらい、目標に掲げた健診率アップへとつなげることができました。
また、班会から出資金の増資につながることもありました。公開講座を行う時には、入口に医療生協の新加入・出資金セットを設置しました。チラシをみて興味を抱き参加した人に、医療生協を知ってもらい、新しく加入してもらうこともできました。
■技術職にできる活動
組合員との対話の中では「腹部エコーでお腹が押さえられて痛い時がある」「3Dマンモグラフィーのオプションって普通よりも痛そう」「年に何回くらいならレントゲンを受けても大丈夫なのか」「長い間レントゲンを撮るのが怖くてかたくなに拒否してきました」などの意見や不安が聞かれました。しかし、対話の中でていねいに説明することで不安を解消してもらい、受診を勧めることができました。
放射線技師の職場で、健診の啓蒙活動にとりくんでみると、予想を超える成果が得られました。これは技術職・専門職だからこそできる活動であったと思います。
技術部・組織部がお互いにささえあいながら、地域の健康づくりに参加し、今年の仲間増やしにつなげていきたいです。
(民医連新聞 第1677号 2018年10月1日)