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民医連新聞

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評議員会講演から―韓国の医療と社会運動学ぶ 市民のために働く時、医師は真の地位を得る

 評議員会では、韓国社会的医療機関連合会(以下、社医連)共同代表のイム・ジョンハン医師と、人道主義実践医師協議会(以下、人医協)事務局長のイ・ボラ医師が講演しました。

 イ・ボラさんの講演テーマは「韓国のロウソク革命・民主的な大統領の交代の中での市民運動と保健医療運動」。二〇一六年一〇月から最大二三〇万人の市民が非暴力のデモに参加し、パク・クネ前大統領を退陣させた「ロウソク抗争」と、韓国の抗争の歴史を紹介。その中で医療従事者が果たした役割にも触れ、「不当な権力に屈せず真実を語れば歴史は前進スピードを上げ、医師は市民のために働くとき真の地位を与えられる」と語りました。

「韓国社会的医療機関 連合会設立と今後の課題」

イム・ジョンハンさんの講演の要旨を紹介します。

 私は二五年前、日本の医療生協を視察しその実践に衝撃を受け、この仕事を一生やり抜く覚悟を決めました。以来、韓国で医療生協運動をすすめ、今年五月、医療福祉社会的協同組合連合会(※日本の医療福祉生協連に似た組織)も参加する社医連が誕生しました。

■社医連誕生の背景

 韓国でも経済的格差の拡大、超高齢化、医療費の増大が問題となり、健康の不平等が広がっています。
 全雇用に占める医療従事者の割合はわずか六・八%(二〇一五年、OECD平均一〇・一%、日本一二・四%)。国民皆保険制度は診療報酬が低く保険適用範囲も限定的、一次医療インフラは絶対的に不足しています。病院間の競争が激しく連携が困難で、都市の急性期大型病院へ患者が偏り地方病院経営は悪化、地域間医療格差が生まれています。公的医療機関は五%と少なく、民間医療機関内部での医療の公共性確保が、課題となっています。

■北東アジアの平和へ

 こうした背景の中、職種別運動と医療生協運動を合わせた医療機関の連帯の必要性が高まり、人医協という民主的な医師の連帯にならい、八年かけて社医連は誕生しました。韓国の医療運動の転機でもあります。
 韓国では、利潤だけでなく公的な目的を持つ経済とそれを担う主体を「社会的経済」と呼びます。社医連や生協組織もそのひとつ。こうした民間の主体的な運動が政府を動かし法律を整備してきました。社会とともに変化してきたこれら民間団体のネットワークを強化し、韓国社会の希望として自立的に成長していきたいと考えています。
 最後に、社医連の綱領を紹介します(別項)。民医連とその価値、哲学を同じくする社医連ですから、私たちは「K―民医連」であり、同志です。朝鮮半島には社会的経済を通じて南北が発展しようという動きもあり、北朝鮮にも民医連のような組織ができたら、と考えています。アジアの真の平和のために日本も含めたこの地域の平和が重要です。(丸山いぶき記者)


韓国社医連の綱領

○医療機関の民主的な運営と合理的な意思疎通のために努力する。
○生命、平和、人権を尊重する医療従事者を育成する。
○健康なまちづくりのために、地域社会と協力して連携する。
○医療、ケア、福祉の統合的管理の必要性を認識し、これを実践する。
○医療の公共性の拡大と強化のための医療制度の改善運動を支持し、これを実践する。
○健康によい環境、健康によい食べ物、健康によい労働環境のために連帯する。
○生命を破壊する戦争に反対して、大量破壊兵器、核兵器に反対する。
○原子力発電が環境と生命を破壊する危険性を認識し、これを閉鎖するための脱核、脱原発の運動を支持し、これに連帯する。

(民医連新聞 第1675号 2018年9月3日)