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民医連新聞

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相談室日誌 連載449 Aさんの生きる意欲とマンパワーにささえられ(福島)

 「いつもお世話になっています。これからもがんばってください」が口癖のAさん。いつも私や定期巡回、随時対応型訪問介護看護のヘルパーや看護師に手を合わせてお礼を述べます。Aさんは食欲不振で入院、CV挿入になるも自己抜去により、療養病床へ転棟できず、往診を入れて退院となりました。
 集合住宅の四階に住み、エレベーターもありません。退院に向けてリハビリスタッフが何人でなら車いすに乗ったAさんを運べるのか検討、担当者会議では、看取りの可能性を含めて打ち合わせを行いました。同居の娘さんは約一カ月の介護休暇を取りました。しかし、退院したAさんの予想外の行動で、娘さんも関係事業所も驚きの日々で毎日のように情報交換をしました。あっという間に娘さんの職場復帰が近づいてきました。
 Aさんは娘さんと二人暮らしで、娘さんの収入がなければ生活は厳しい状況です。帰宅して部屋が便まみれになっていたら…と考えると娘さんの精神的負担が予想され、ショートステイを探しました。歩行困難でエレベーターもない状況ではありましたが、受け入れてくれるショートステイが見つかりました。Aさんをタオルケットでみの虫のようにくるみ、ショートステイの職員二人と定期巡回のヘルパーで階段の昇降をします。
 法改正で新たなサービスができ、使い方を考えたり、提供票を作成することでつまずいたりすることもあります。またAさんのような住環境により、リスクが先立ち思うようにサービスを利用できない場合もあります。
 看取り方向と言われてから、四カ月たちますが、Aさんは娘さんとの生活に感謝し、二人のひ孫に会うことを楽しみに生活しています。娘さんも「いい制度ができてみんなのおかげで働ける」と話しています。
 Aさんと協力してくれている事業所に感謝しながら、今後もAさんが有意義な人生を全うできるように関わっていきます。

(民医連新聞 第1675号 2018年9月3日)