自然エネルギーで未来に希望 原発ゼロ基本法の制定を
六月二八日、東京都内で「原発ゼロ基本法の制定をめざす市民のつどい」が開かれました(共催・さよなら原発1000万人アクション、原発をなくす全国連絡会、協賛・戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会)。七五〇人が参加。集会では原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟会長の吉原毅さんも講演しました。
(代田夏未記者)
今年の三月に、野党四党(立憲民主党、共産党、社民党、自由党)は「原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案(原発ゼロ基本法案)」を衆議院へ共同提出しました。
法案は、すべての原子力発電所を速やかに停止させ、廃止することを基本理念に、五年後の廃炉と再生可能エネルギー(自然エネルギー)を二〇三〇年までに四〇%まで増加させる、という内容。廃炉作業には国が必要な支援を行うことを明記しています。
■原子力発電は危険だ
日本は米国に原子爆弾を投下され、大きな惨禍を被りました。しかし、一九五五年には原子力基本法を制定し、原子力の平和的利用の名の下に原子力発電を推進してきました。
原発は安全性の問題だけではなく、使用済み核燃料や放射性廃棄物の処分の仕方、労働者の被ばくの可能性など、多岐にわたる問題があります。しかし政府は、「コストが安く、エネルギーの安定した供給が可能」などと主張し、問題点から国民の目をそらし、日本の原発で事故は起きないと“安全神話”を生み出しました。
二〇一一年三月一一日の東日本大震災で、福島第一原子力発電所は事故を起こしました。この事故で多くの住民が避難を余儀なくされ、放射性物質による汚染で住民の健康面の不安も生じています。今や、“安全神話”は崩壊。原発は危険を伴うものとの認識が広がっています。
■安心・安全な発電を
講演した吉原毅さんは「日本の国民は危ない橋を渡らされている」と指摘しました。福島の原発事故で原子力発電の恐ろしさが身にしみて分かったはずなのに、政府は原発を再稼働しようとするばかりか、輸出し、増やそうとさえしています。
「だからこそ、すべての人が結集して原発を止めなければなりません」と吉原さん。一方、「原発がなくなったら電気が足りなくなるのでは?」「自然エネルギーはお金がかかるのでは?」と思う人もいます。そうした人たちに正確な知識や世界の流れを知ってもらう必要があります。
今、世界は自然エネルギーを推進しています。そのため、自然エネルギーのコストは下がってきています。今まで原発を推進していた大手企業は自然エネルギー推進に変わってきています。世の中が自然エネルギーへと移行してきているのです。
その上で、「原発のコストは無限大です。原発事故後、事故収束のためのコストが増加、使用済み核燃料は増え続け、保管するコストは子どもたちの負担になります。原発は即時停止し、全て廃炉にするべきです」と吉原さんは強調しました。
国は、すべての発電用原子炉を速やかに停止し、計画的かつ効率的に廃止すること。再生可能エネルギーの供給量を増やし、持続可能な社会を実現する責務があります。
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法案の説明を行った、立憲民主党の山崎誠衆院議員は「原発廃止、エネルギー転換の実現は未来の希望です」と何度も訴えました。原発ゼロと自然エネルギーの普及を実現させることで、環境と調和のとれた新しい経済社会を実現することができます。「原発がない方が、幸せになれる」ことが確信となった集会でした。
(民医連新聞 第1672号 2018年7月16日)