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民医連新聞

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憲法と民医連綱領を学び 「医療と介護活動の2つの柱」の実践へ 斉藤和則職員育成部部長に聞く

 今期の職員育成部は、民医連への確信を培うための、職員集団の成長を呼びかけています。斉藤和則職員育成部部長に聞きました。

(長野典右記者)

1 憲法学習は平和の維持と医療、社会保障充実の基礎

 四三期前半は、憲法改定の発議がねらわれる一年間です。憲法改定で、戦争遂行が可能となることと、医療・社会保障費の削減はセットです。日本の軍事費は今や五兆円を超え、さらに、GDPの二%(約一〇兆円)もねらわれています。医療・社会保障の充実というと財源の話になりますが、沖縄の基地建設、武器の購入に財源議論は出てきません。いのちに直接寄り添う私たちは、軍事費を医療・社会保障にまわせと言える立場にあり、そのささえとなるためにも、今期も憲法を引き続き学びましょう。

2 日本の主権者教育と民医連の教育活動

 前期の教育委員長・教育担当者会議で、高校生の主権者教育を実践、研究してきた教育学者の講演をきく機会がありました。一九六九年、当時の文部省は高校生の政治活動を禁止し、政治教育も規制する通達を出しました。それが現在の選挙の低投票率につながっているのではないか、と文科省に通達の撤回を求めたPTA関係団体の活動が紹介されました。主権者教育が不十分な中で成長してきたほとんどの世代に共通する問題です。
 このような経過に加えて現在の青年層は、受験・学力競争、自己責任論、非正規雇用の拡大などの影響を受けて自己肯定感が持ちにくいといわれています。民医連は、自分たちが主体になり、社会科学の学習、震災支援、原水禁世界大会、辺野古支援連帯行動、青年ジャンボリーへの参加など体験を重視しています。その中で、職場の支援、居場所がある、また自分もささえる側になる、といった意識を持てるよう教育をすすめています。
 会議の講演者からは、民医連の教育活動が主権者教育として機能しているとの評価がされ、それを確信にして今期も職場での教育と働きかけの工夫で青年の成長を支援、援助します。

3 人権感覚を研ぎすます

 四三回総会のスローガンは、「医療と介護活動の2つの柱」を旺盛に実践し、経営、職員の確保と育成、運動との好循環を創り出そう、と提起しています。貧困と格差、超高齢社会で、保険料や窓口負担は増え、年金や生活保護が切り下げられる中で、医療にかかれない人はいないかなど地域の実態をつかみ、病気があっても患者になれない人が放置されないよう、一人ひとりの人権感覚を研ぎすますことが必要です。
 その源になるのは民医連綱領、法人理念、SDHなどの学習と理解です。医療と介護の質の向上、貧困格差の拡大と超高齢社会に立ち向かうことと不可分で、地域の実情をつかむこと自体が質の担保になります。さらに、医療・介護活動の事例検討や、臨床倫理カンファレンスなどの議論で、民医連らしさを発揮するところです。職場教育や制度教育で、大いにレベルアップを図りましょう。

4 教育指針の改定

 現在、二〇一二年版教育指針に基づいて職場教育が行われています。その後の社会情勢の変化、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪の成立、学校での道徳の教科化、改憲の動きがすすむ中、市民と野党の共闘の広がりと深化も重要です。
 四一、四二期に確認した「医療と介護活動の2つの柱」、「職場管理者の『5つの大切』」(左図)などの提起を踏まえ、教育指針の改定を行います。多職種で育ち合う職場づくりと教育活動を一層充実させる内容にします。教育担当者はもちろん、管理者を先頭に全職員が読むことを期待します。

5 2年後は綱領改定から10年

 二年後の二〇二〇年、綱領改定から一〇年を迎えます。今年度中に完成予定の綱領学習テキスト(仮)を活用して二〇一九年度、憲法を土台に民医連の歴史と綱領を学ぶ学習運動を提起します。
 憲法を巡り、護憲と改憲が対決する時代、貧困と超高齢・人口減少社会到来の時代に、綱領で「無差別・平等の医療と福祉」そして憲法の理念の実現を掲げる民医連運動の社会的役割はいよいよ大きくなっています。幹部の世代交代の時期、青年職員をはじめ全職員があらためて綱領を今日の時代の課題と結びつけて深め実践し、国民の期待に応えて、民医連運動の「発展期」である今期を担っていくことが求められます。

6 学習時間を確保するために

 毎日忙しく、学習する時間を確保するのが難しいとの声が出ます。今国会で強行可決された「働き方改革」は、残業時間上限の引き上げや残業代なしが盛り込まれ、過労死の増加が懸念されることはあっても、業務軽減は期待できません。マルクスは「自由時間は余暇時間であるとともに人間が発達するための高度な活動を行う時間である」(基礎経済科学研究所WEB政治経済用語辞典)と言っています。
 学習の時間確保自体にはかなりのエネルギーを要します。医師については実質医師数増を行わなければ医師労働は改善しないし、自由時間も増えません。労働時間短縮の運動とともに、業務の工夫と職員同士の協力で時間を確保し職場と自己学習をすすめましょう。

(民医連新聞 第1672号 2018年7月16日)