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民医連新聞

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診察室から 整形外科とアウトリーチ活動

 民医連の整形外科とはなんだろうか。卒後研修が始まる前から疑問に思っていた。残念ながら、もう何年かで定年になるのに未だによくわからない。高齢者医療をがんばることは他の医療機関にもできるし、同じ手術をしても患者満足度は大病院の方が高かったりする。他病院の先生に質問して明確に答えをもらったことがあった。でも、その時は私にとって納得できる答えではない気がして、今ではどのような答えだったかも忘れてしまった(すみません)。
 毎日たくさんの人が外来を受診。当然待ち時間が増え十分な話や指導ができない。日々この繰り返しだが、これでいいのだろうか。病気になってからの診察や治療ではなく、その前に指導して病気の状態に移行させないことが必要ではないか。街に出て、整形外科医師として地域の皆さんの住まいや生活をみるアウトリーチ活動をもっと行うべきではないかとも思う。しかし、外来単位を減らすと、病院の患者数減少と減益につながる。なかなか難しい問題だ。
 外傷を治療していると、人の不幸を願っているような不思議な気分になる。介護保険などで転倒予防をすすめる一方で、制度とはいえ転んで骨折の手術が増えると増益となる。防ぐことができない転倒もあるが、有効な予防策がされていたか、今後の対策がなされるのか、あるいはこの人を自宅に帰してよかったのだろうかと思ったりする。なかには転倒を繰り返すが骨折はしたことがない人もいる。そのような人もいつか骨折すると思われるが、そのまま見ていていいのか、どのように介入したらいいのかがわからない。
 高齢者の一人暮らしが増えるなか、住み慣れた家や地域で暮らしたい思いにどう寄り添えばいいのだろう。施設入所などで少しは解決するかもしれないが、居住、移転の権利は憲法にも保障されている。高齢者のここに住み続けたいという気持ちは憲法のどこに抵触するのだろうか。きっとまだまだ経験や勉強が足りない。もう少しがんばってみよう。(大澤芳清、兵庫・尼崎医療生協病院)

(民医連新聞 第1670号 2018年6月18日)