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民医連新聞

民医連新聞

ともにアジアの健康権を守る 韓国で「社医連」結成

 民医連と長年交流してきた韓国の仲間が五月二六日、「韓国社会的医療機関連合会」(以下、社医連)を結成しました(写真左)。創立総会に先立ち、全日本民医連の岸本啓介事務局長が、社医連の結成準備にあたってきた医師たちに聞きました。

(丸山いぶき記者)

岸本 今回なぜ、韓国で社医連を結成することにしたのですか。きっかけや背景を教えてください。
姜大鵾(カンデゴン)(社医連理事長、安城医療福祉社会的協同組合西安城医院院長) 韓国でも進歩的な医療活動がありましたがいずれも個人。医療の社会的役割を果たすために、民医連のような連合体が必要だと考えました。
林鐘翰(イムジョンハン)(社医連理事、韓国医療福祉社会的協同組合連合会会長) 国内的には、韓国社会はいま危機にあります。高齢化、健康の不平等、貧困と格差の拡大。地域共同体が弱体化し疾病を予防する力も弱まった結果、医療費も増大しています。地域共同体や社会的な価値を守り、社会的な責任を果たす医療機関の連合体が必要だと考えました。
岸本 超高齢化、貧困と格差の拡大は日本も同じ、アジア共通の課題です。医療人一人ひとりでは解決が難しい課題に集団で立ち向かおうと結成したのですね。

■社医連の組織は?

岸本 社医連の組織構成を教えてください。
金奉九(キムボング)(社医連準備委員長、ソウル緑色病院院長) 医療福祉社会的協同組合連合会に加盟する二五の医療機関と、緑色病院も所属する公益医療をめざす会を中心に、二年にわたり準備しました。理事会、委員会、事務局で構成し、総会は、各加盟機関から選出された代議員による決定機関。理事会は、理事長と九人の理事で構成する執行機関。委員会は、健康な村づくり委員会、教育・学術委員会、組織委員会、経営委員会、性平等委員会、広報委員会の六つがあります。
岸本 医療機関が集まるとさまざまな意見が出て、理事長も理事会も苦労されると思いますが、民主主義は組織のエネルギーです。全日本民医連も結成から六五年、議論を尽くすことで前進してきました。民医連もまちづくりや経営には力を入れています。設立趣旨や綱領も、とてもすばらしい。
 民医連を見て作ったので(笑)。

■民医連のみなさんへ

岸本 民医連職員へのメッセージをください。
 社医連も民医連も、所属しているだけで社会的な責任があるので、職員は負担も感じるかもしれませんが、そんな組織の一員であること自体に誇りを持ち、互いに励ましながらがんばりましょう。
 社医連は韓国の民医連です。民医連というモデルがあること自体が私たちの力になります。この場を借りて民医連に感謝したい。
 人権・平和・健康権という価値の実現をめざす私たちは、ともにたたかう仲間。その連帯を感じることが力になります。ともにがんばりましょう。

医療・福祉の産業化に反対し人権・平和の実現へ

韓国社会的医療機関連合会が創立総会

 五月二六日、韓国ソウル市内で韓国社会的医療機関連合会の創立総会が開かれました。韓国全土から六二人の医療人が集まり、社医連の設立趣旨と綱領、規約を承認し、役員を選出しました。社医連には病院一、医院一二、韓方医院八、歯科医院四、薬局四、老人介護施設二、家庭看護センター一、療養院一の計三三の機関が加入。医療・福祉の産業化に反対し、地域住民の健康権を守り、人権・平和という社会的な価値の実現をもめざす連合体として、新たに出発しました。
 全日本民医連からは、岸本啓介事務局長と西澤淳事務局次長が来賓として参加。岸本事務局長は、「全日本民医連の歴史と課題」と題した講演で、戦前の無産者診療所から続く歴史を民医連綱領の変遷とともに紹介。「これまで以上に大事な友人として、ともにアジアの健康権を守っていきましょう」と呼びかけ、記念の楯と山本宣治の遺した言葉を記す拓本を贈りました。社医連からも感謝杯を受け取りました。

(民医連新聞 第1670号 2018年6月18日)