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民医連新聞

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患者さんの背景に気づけるように SDH調査とカンファにとりくむ 奈良 日の出診療所

 奈良・日の出診療所は慢性疾患の患者さんに「SDHアンケート・聞き取り調査」をしています。このほど、昨年七~一二月に回答を得た七〇四人(管理患者数の約半数)の結果をまとめました。「患者さんの様子に“気づく”大切さが分かってきた」と、横尾洋美看護師長は話します。
 患者さんに用紙を配って記入してもらい、診察前に必ず行う看護師の問診で聞き取りをします。低所得で小学校しか出ていない高齢者も多く、全ての漢字にふりがなをふるなど工夫しました。
 社会的必需品の有無について聞いたところ、冷蔵庫がない(二人)、冷暖房機器がない(一七人)との回答でした。一七人がライフラインを止められた経験があり、うち一五人は女性でした。
 主観的健康観を「健康群」(とても健康、まあまあ健康)と「非健康群」(あまり健康でない、健康でない)に分け、社会的つながりの傾向をみました。「健康群」の女性は「外出が多く、友人・近所との付き合いも多い」傾向でしたが、男性は「外出は多いが人との交流は少ない」ことが分かりました。「非健康群」は男女とも社会的つながりが低い傾向でした。
 一人暮らし世帯は「友人・近所とのつきあい」が少なく、なかでも「持ち家」で一人暮らしの女性のつながりの弱さが顕著でした。

* * *

 並行して、全職員で週一回の「気になる患者カンファ」を始めました。聞き取りを通じて、長く定期通院している患者の生活上の困難が初めて分かり、カンファでとりあげることも増えました。
 カンファで気になった人への訪問も開始。独居の男性(七〇代)を訪ねると、在宅酸素を使用しているにもかかわらず、部屋には物が散乱し、家具や服の上に大量のほこりが積もっていました。職員と医学生の七人で三時間かけて片付け。男性は喜び、一カ月後に受診すると、「クーラーつけたらいい風がきた。酸素をつけなくても平気なことが増えた」と話しました。友人を家に招き入れられるようにもなりました。
 自転車で通院しているから雨の日は出歩けないという男性には送迎ボランティアを紹介したり、妻に先立たれて閉じこもりがちだった元大工の男性には、子どものおもちゃ作りのボランティアをすすめるなど、「患者さん一人ひとりに合った支援につなぐことを意識している」と横尾さん。看護師と事務が日常的に気になった情報を共有し、すぐに対応できるようになってきました。

(民医連新聞 第1669号 2018年6月4日)