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民医連新聞

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総会方針学習月間スタート 43期、私たちがめざす方向は? 岸本事務局長に聞く

 第四三回定期総会方針の「学習月間」が今月からスタートしました(七月まで)。難しい言葉が並び不安になった人もいるのでは…。そこで、総会って何? と初歩的な疑問から方針の重要ポイントまで、岸本啓介事務局長に聞きました。(代田夏未記者)

 全日本民医連の総会は二年に一回開かれます。全国の仲間が、前回の方針と民医連綱領に沿ってどのように実践してきたかをまとめて教訓にし、次の二年間の活動の方針を決める場です。民医連運動には教科書がないので、それぞれの事業所や一人ひとりの職員の力で総会方針は練り上げられます。
 今回の総会は広島で開かれたことに大きな意味がありました。昨年、国際社会は核兵器禁止条約を採択し、「核のない世界」に向かって踏み出しました。そうした中で、被爆地である広島で、被爆者とともにすすんできた民医連の医療をあらためて確認できました。
 「患者さんとともに」ということも、広島民医連の歴史は教えてくれました。「医療の質」は高度な医療ということではなく、患者の声に耳を傾けて医療の課題を明らかにし、行動することです。
 憲法の危機のなかで開かれたことも今回の総会の大きな特徴です。民医連が憲法を綱領に掲げて九年がたちます。「民医連職員として、憲法を守る運動に力を尽くそう」という感想も代議員から多く寄せられました。スローガンに「一人ひとりが憲法を守り生かす運動に参加しよう」と掲げた意味を全員で確認することができました。
 また総会では、医療、介護の現場からさまざまな実践が報告されました。多くが「2つの柱」にこだわった発言でした。多彩な職種に民医連の実践が広がっていることも感じました。この実践を広げると同時に人づくりに結びつけていきたいと思います。

患者になれない… 深刻な貧困の広がり

 総会で来賓のあいさつをした、日本HPHネットワーク(J-HPH)の島内憲夫CEOは「HPHの最大の敵は貧困、究極の目標は平和」と強調しました。これは民医連の活動と共鳴します。貧困の問題を重視している民医連職員の確信にもなるものです。
 貧困は深刻さを増しています。総会での討論は、数字的な広がりだけではなく、身近に広がっていることを浮きぼりにしました。
 貧困の実態は病院にいるだけではわかりません。総会で発言した北海道の田村裕昭医師は「病人は減っていません。患者になれていないだけ」と指摘しました。経済的な問題で受診できない人、民医連とつながっていない人がたくさんいます。地域に出て困っている人の話に耳を傾けて、ともに解決する方法を探りましょう。それが社会保障改悪に対抗する地域の福祉力をつけることになります。

患者が抱える困難に気づける「視点」を

 いま、全国各地を回って現場での学習会に参加しています。「忙しくて、いろいろな活動に参加する時間がない」という悩みはどこでも出されます。カギは、事例をどれだけ掘り下げられるか、です。
 先月、全日本民医連歯科部が『歯科酷書第3弾』を発行しました。事例をSDH(健康の社会的決定要因)の視点で分析し、口腔崩壊の背景には、貧困や家庭環境、過酷な働き方などが密接に関係していることを明らかにしました。口腔崩壊は自己責任ではないことが歯科の確信になっています。
 現場ではさまざまな困難を抱えた事例と向き合っていることでしょう。職場で仲間と事例を出し合い、課題は何か、背景には何があるのか、話し合ってみてください。大事なのは、困難に気づける「視点」をもつことです。そして、「民医連新聞」、『いつでも元気』、『民医連医療』を読みましょう。全国の仲間のとりくみや、患者・利用者の苦しみなど、多くのことを学べます。

「憲法を守る」を最大のとりくみに

 最大の課題は「安倍政権の改憲は絶対にさせない」ことです。
 第一に、自衛隊を憲法に書くということは、海外で戦争ができる国になるということです。戦争になったら、医療・福祉関係者も戦争に協力させられ、社会保障が削られることは歴史が証明しています。安倍首相は「書き足すだけ。何も変わらない」といいますが、そんなことはありません。
 二つ目に、民医連は綱領に憲法を掲げています。その心は〝戦争をしない〟ことです。私たちは憲法に守られて生きています。憲法九条が持つ意味を考えましょう。
 極めて危険な情勢ですが、希望もあります。市民が政治を動かす時代になってきた点です。
 森友問題、加計問題などで安倍政権への国民の怒りが募っています。二〇一五年の戦争法反対のたたかい以降、市民の声が野党共闘を後押ししてきました。「憲法を守り抜く」という国民の圧倒的な声が政治を動かす力となります。
 「憲法九条を変えようとする政治はもたない」ことを証明しましょう。今が大きなチャンスです。声をあげる市民の輪は確実に広がっています。民医連もその一員です。そのなかで、三〇〇〇万人署名を確実に成功させましょう。
 いま、三〇〇〇万人署名はものすごい勢いで広がっています。すでに一三五〇万を超え、展望は見えてきています。五月三日の憲法記念日には、東京の集会に六万人が集まり、全国二五〇カ所で「憲法守れ!」と集会が開かれました。これを力に、安倍政権を倒し、憲法改悪を止めましょう。


ニュース発行し事例をもとに学び合う

―山梨民医連―

 山梨民医連では、総会方針学習月間にあたり、「全職員(非常勤職員含む)が学習会に参加する」「各委員会では、情勢と各委員会の課題の部分について学習し、委員会活動に具体化する」など四つの目標を決めました。県連「学習月間」推進本部はニュースも発行。とりくみを紹介したり、「総会方針クイズ」のコーナーをつくるなどして学習をすすめています。
 共立介護福祉センターいけだは総会方針を読み合わせ、情勢、憲法を守る、貧困・格差とのたたかいと対応、介護福祉事業の重点課題を学びました。
 参加したケアマネから「貧困がすすんでいる気がする」「介護保険料も高くなり、切り詰めて生活している」「ひとり暮らしが増えている」などの報告が。また、看護小規模多機能の食事代・宿泊費が限度額軽減対象でないため、例えば生活保護の人の場合、ショートスティを一カ月利用すると一万円の負担なのに対し、看護小規模多機能だと九万円かかる、との指摘があり、「これだけの差があることは、解決すべき課題だ」との意見も出ました。
(山梨民医連「学習月間」推進ニュースより)

(民医連新聞 第1668号 2018年5月21日)