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民医連新聞

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相談室日誌 連載442 断らない、諦めない それが一番大事(岩手)

 高次機能障害のあるAさんは、自分の意思とは関係なく、「バカヤロー」と周りの方を威嚇(いかく)するように大きな声を出してしまいます。Bさんはコミュニケーションをとることができずにうなり声をあげ、怒った様子でデイサービスのホール内を歩きます。
 二人とも、よそのデイサービスに通っていたのですが、なじむことができなかったり、通所を断られてしまった経験があります。
 そんな時、当デイサービスを利用するようになりました。はじめは、利用が難しいのではとスタッフが思い悩んでしまったこともありました。しかし、そのことで私たちは基本に立ち返ることができました。
 当デイサービスは認知症対応型として運営しています。認知症対応型デイサービスに通う利用者さんは、在宅で暮らすことができるのか、それとも施設に入らなければならないのか、そんなギリギリのところにいる人たちが大半です。そして、その家族の多くは在宅での暮らしを望んでおり、私たちは、その家族とも向き合っていかなければなりません。
 利用者さんの抱えている不安は何なのだろう? どうやったら解決できるのか? 家族の不安に寄り添うことはできるのだろうか? 日々職員は考え、利用者さんと向き合い、どんな人でも断ることなく、諦めることなく対応してきました。怒ってしまう時のタイミングや環境に何か共通点はあるのか? 声かけの仕方や落ち着くことができる環境づくりなど、思考↓工夫↓実践↓思考…と繰り返しているうちにAさんもBさんも、デイサービスに到着すると素敵な笑顔を見せてくれるようになりました。送迎の際には、家族ともたくさん話すように心がけ、不安の軽減にも役立てているのでは? と実感できるようにもなってきました。
 「自分たちがやらなきゃ誰がやる」。必要とする人たちがいる限り、私たちは諦めない介護、安心の介護をめざし、奮闘していきます。

(民医連新聞 第1668号 2018年5月21日)