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民医連新聞

民医連新聞

診察室から 情報提供

 私は五月に誕生日を迎えると、七六歳となる内科・呼吸器・アレルギー科の医師です。常勤嘱託医ですが、今も現役のつもりで、夜間一パートを含む六パートの外来と胸部写真検討を毎週、月二回の土曜午前外来をやっています。長年の詳細は今年四、五月号の「共済だより」をご参照頂ければ幸いです。最近は杉花粉の皮下注射による減感作、舌下免疫療法を希望する患者さんも多くなりました。
 昔からニトログリセリン舌下錠の狭心症発作時舌下投与・即時的効果は知っていました。粉の風邪薬(メチエフ散一グラムなどを含む)の舌下投与も、咳や鼻症状に即時的効果があるのではないかと、まず自分に試し効果を確認しました。風邪薬を希望した人に、舌下投与の仕方やタイミング、効果出現機序などの説明書四枚を渡し、診察室の外で読んでもらいます。次の人を診察した後、もう一度入ってもらいます。試した人には「一服で治った」「清水先生の風邪薬はよく効く」などと好評でした。五〇年以上前から使用する粉薬なのに、情報提供と服用方法の変化で、八〇%ぐらいの人にさらなる改善を認めました。今年の全日本民医連呼吸器疾患研究会に報告して、批判を受ける予定です。
 喘息の人への合剤やステロイド吸入は「口から吸入、鼻から出す」経鼻呼出法が、アレルギー性鼻炎や好酸球性副鼻腔炎に有効です。これも説明書を渡すことで外来での説明時間が省けます。こんな説明書が一六種類あり、私の著書の部分も必要と希望に応じ読んでもらいます。診察室での共同の営みとして、相互理解が深まります。
 三〇〇〇万署名をすすめる話し合いも、時間がなくなり十分にはできないので、私の生後九〇日目の写真と「たった一人の兄の戦時下での死亡」を文にして、署名用紙とともに、「自宅で読んで」と渡します。読んだ人からは、たくさんの署名が返ってきました。
 私の長年の趣味・鮎の友釣りや、最近始めたゴルフの写真も診察室に飾ってあり、情報提供のつもりが情報入手になる場合もあります。
(清水巍(たかし)、石川・城北病院)

(民医連新聞 第1667号 2018年5月7日)