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民医連新聞

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「ただいま」と元気にタッチ! 養護老人ホーム・岡山市会陽の里 入所者が下校見守る 安全パトロール隊

 岡山・養護老人ホーム岡山市会陽の里では、小学生の下校時、入所者が「お帰りなさい、今日も元気に会陽の里安全パトロール隊」として活動しています。施設長の藤岡理恵さんのレポートです。

■町内会長からの相談

 午後三時過ぎ、近くの雄神(おがみ)小学校の下校の時間、「お帰り」「気をつけて家に帰るんよ」の声が通学路に響きます。今日も子どもたちは、「おっす!」「ただいま」と元気にハイタッチ。老人ホームの入所者が子どもたちの安全を見守り続けています。
 とりくみのきっかけは、いつもお世話になっている町内会長から「安全パトロールに参加してくれる人たちがだんだんと高齢になって減り、困っている」と聞いたことでした。私たちも地域に出向き、何かできることがあるのではないかと職員で話し合い、「とにかくやってみよう」と始めたのが安全パトロールでした。
 二〇一三年四月、岡山市学校支援ボランティアに登録し活動を開始。老人ホーム入所者に、職員が声をかけ参加をすすめました。当初は人数もバラバラでしたが徐々に参加者が増え、現在、入所者六人と職員一人で、月、水、木、金曜日に活動中です。

■地域からも感謝の声

 当初は、子どもたちに何と声かけしてよいかわからず、小声で「お帰りなさい」と言うのが精一杯でした。子どもたちも「誰?」と不思議そうな表情。しかし約一カ月が経過したころ、小学三年生の元気な男の子がハイタッチで応えてくれたことから、“全員ハイタッチ”が恒例になり、五年目の今も続いています。
 このとりくみをはじめてから、小学校や地域のまつりなどの行事へ参加すると、子どもたちや保護者からも声をかけてもらう機会が増えました。学校の先生や地域住民からも「いつもありがとう、ご苦労様」と感謝され、入所者、職員も一同感激、ますますパトロールの楽しみとやりがいが大きくなっています。ある入所者は、「こんな自分が人の役に立てるとは思っていなかった」と話してくれました。
 当施設は、一九六〇年に岡山市東区雄神学区に開設されました。全室個室、デイサービスセンター併設で、職員数は五〇人。自宅での生活が困難になった人が入所する措置施設です。
 現在、日常生活が自立している人から寝たきり状態(要介護5)の人まで八〇人が生活し、年齢は六五歳から一〇一歳です。

■「協働のまちづくり大賞」に

 地域に貢献しようという思いから始めたパトロールで、入所者の皆さんは新たな楽しみや役割を持つことができました。地域の一員として活躍できる場があること、人の役に立てるという自信と生きがい、喜びと誇りを生みました。どこで生活しても社会性のある生活を送ることが、「人としての生きがい、生きる」につながることを改めて実感しています。
 そして、これまでのとりくみが「平成二九年度おかやま協働のまちづくり大賞」に選ばれ、表彰されました。
 入所者にとっても職員にとっても、特別なことではなく当たり前に続けてきた活動です。これからも無理をせず、できるだけ長く継続していきます。そして、今後は私たちの活動を多くの皆さんに知ってもらい、安全パトロールの輪、福祉施設と地域の協働のとりくみを、広げていきたいと考えています。

(民医連新聞 第1667号 2018年5月7日)