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民医連新聞

民医連新聞

主体的な健康づくりを見学 自国での医療のあり方を模索 韓国の韓方医と医学生の団体 ギルボット

 二月二三日から三月一日まで、韓国の韓方医と韓方医学生で組織する団体ギルボットから二〇歳代を中心に若手の医師・学生九人の代表が、民医連の医療活動や共同組織のとりくみを見学するために来日しました。医療生協さいたまや東京の大田病院などを訪問しました。山本淑子事務局次長のレポートです。

 ギルボットとは、韓国語で「道の友」の意味。韓国の韓方医科大学の学生九〇人、韓方医一〇〇人で構成する団体です。社会的健康権に関するセミナー開催や、ホームレスなどへの医療支援、セウォル号の遺族や日本軍「慰安婦」のハルモニ、労働者や農民のたたかいなどに連帯し、支援行動などにとりくんでいます。
 ギルボットが初めて民医連を訪問したのは二〇一二年の夏。九月に岩手で開催した共同組織活動交流集会にも参加しました。その時の団長は民医連と交流のあるグリーン病院で働いていた韓方医。翌一三年には大阪民医連を訪れ、今回が三度目です。

■高齢者が主体に

 今回の訪問の目的は、住民主体の健康づくりと、民医連が果たす役割を学び、韓国でも民医連のように無差別・平等の医療にとりくむ足がかりにしたい、というものでした。参加者の中には、自分がどんな医師になるべきか、患者中心の医療を韓国で実現できるのか悩んでいる人もいました。
 医療生協さいたまでは、「気功」や「笑いヨガ」、育児の「わいわいサークル」や「医療懇談会」など、多彩な組合員活動を体験・見学しました。お昼は減塩弁当を試食。「ちょっと味が薄かった」との感想も出ました。
 組合員、特に高齢者が地域で仲間とともに「気功」にとりくみ、生き生きと過ごしている姿に、参加者は「自ら集まりの必要性を感じて会議をする主体性がすごい」「韓国では六〇代、七〇代になると受け身になりがち」「楽しく自分の健康を管理することが可能だと証明された」と話しました。

■病気の治療だけでなく

 東京では大森中診療所のよろず相談所、グループホームやゆたか診療所の共同組織のたまり場などを訪問。外来の一角に設置され、毎日開設しているよろず相談所は、弁護士や社会保険労務士など専門家も関わっています。参加者は、「病気の治療だけでなく、患者の個人的な悩みから法律、経済的な部分まで支援できる点に驚いた」「WHOが言う物理的・精神的・社会的健康を網羅する空間のよう」とびっくり。
 グループホームでは隣の小学校の子どもたちが課外活動で訪問しており、入所者と交流しているところに遭遇。韓国では老人療養施設は都心から遠方に建設され、社会から隔絶されているといい、「高齢者が共同で生活し、小学生も来て交流。社会の構成員として尊重している」「韓国でも高齢者を排除しない方向を考えるべき」と意見が出ました。ギルボットも歌と踊りを披露し交流しました。


「不可能を可能にできる」と実感

 最終日には、全日本民医連事務局も見学。岸本啓介事務局長から民医連の活動について説明を受けました。ニュースで安倍政権の改憲の動きを知って、日本の人々は本当に憲法九条を変えてしまうのかと疑問に思っていた参加者は、「民医連などさまざまな団体や個人が力を尽くして平和憲法を守る活動をしていると知って感動しました」と話しました。
 「平和と人権を重視する価値を持つ人々が集まって創った医療機関が民医連」「不可能に見えることを可能にすることができると、希望をみせてくれた」と、今後の韓国でのとりくみへのヒントが得られたようでした。

(民医連新聞 第1666号 2018年4月16日)