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民医連新聞

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相談室日誌 連載439 「帰りたい」を皆でささえた経験を今後も(福井)

 Aさんは独居で身寄りがなく、生活保護を受給する七〇代女性です。自宅で動けなくなっているところを発見され、急性期病院に救急搬送され入院。両側橋梗塞と診断されました。経口摂取困難で、経鼻胃管栄養継続の状態でリハビリを目的に当院に転院となりました。前の病院で介護保険の認定を申請しており、当院に入院中、要介護5の認定がおりました。
 もともとADLは「自立」だったAさんは「自宅に帰りたい」という意志が強く、積極的にリハビリを行っていました。成果があり、経口摂敢、杖歩行まで可能な状態になりました。在宅生活を目標にしていましたが、カンファレンスで自宅の環境、金銭管理の課題があがりました。家屋評価で自宅環境を確認したところ、物が散乱しており、とても帰れる環境ではありませんでした。後日、Aさん立ち会いのもと、ケアマネジャー、サービス事業所、病棟看護師、作業療法士、地域連携室の職員で環境整備のために自宅を清掃しました。金銭管理は、Aさんと相談し、行政に任せる方向で働きかけていくことになりました。社会福祉協議会とやりとりし、日常生活自立支援事業の日常金銭管理サービスの利用が可能になりました。
 入院当初はAさんが在宅に戻ることは難しいのではないか、といわれていましたが、Aさんの「自宅に帰りたい」という強い言葉に、関わったたくさんのスタッフが心を動かされました。リハビリにとりくむ姿を目にし、Aさんと関わる中で、ソーシャルワーカーとしてできることはなにか? を考え、他職種や他事業所と連携を行い、いろんな視点から在宅生活に向けた支援を行いました。
 私は入職一年目の職員です。今回、連携、社会資源の活用ができたことでAさんが望む在宅生活につなげることができたと実感しました。患者さんの意思を尊重することを大切に考え、患者さんの気持ちに寄り添い、安心して生活が送れるよう、今後も働きかけていきたいと思います。

(民医連新聞 第1665号 2018年4月2日)