全日本民医連 第43回定期総会 2月22日~24日 全議案を承認/新役員を選出 健康を脅かす戦争と貧困に抗し苦しむ人びとの光になろう
全日本民医連は二月二二~二四日、広島市内で第四三回定期総会を開き、全県連から参加した代議員六〇〇人と全日本民医連理事らが、三日間にわたって方針案を深めました。運動方針、決算・予算などの議案をいずれも圧倒的多数の賛成で決定。信任投票によって八四人の新役員と三人の会計監査を選出しました。被爆の苦しみと被爆医療の歩みを学び、安倍政権のすすめる九条改憲を止める運動を強めることを確認しました。
被爆地での総会は、被爆者とともに歩んだ広島民医連の歴史を振り返るDVDの上映で始まりました。原爆の閃光を浴びた被爆ピアノにより、「原爆を許すまじ」など五曲が演奏されました。
野田浩夫副会長が開会あいさつし、村田裕彦(広島)、柴田あゆみ(愛知)、内田芳枝(山梨)各代議員を議長団に選出しました。
広島民医連の佐々木敏哉会長が歓迎あいさつ。「いま私たちがすべきことは、被爆者の声に耳を傾け、願いにこたえる努力をすること、核兵器をなくすために行動すること」と呼びかけました。原爆投下から一〇年後に誕生した福島診療所の初代所長・中本康雄さんと看護師・石田寿美恵さんも登壇。中本さんは、「診療所開所当時、被爆の跡は生々しく、こうした事態を招いた戦争に強い怒りを抱きながら、地域医療や災害救援、職業病や公害問題にとりくみ、生きがいを感じてきた。安倍政権がすすめる医療改悪や九条改憲は、私たちの願いと逆行する。憲法九条、二五条の実現のために、民医連の役割はさらに大きくなっている」とエールを送りました。
全日本民医連理事会を代表し、藤末衛会長があいさつ。前総会からの二年間で亡くなった職員に全員で黙祷しました。
日本HPHネットワークCEOの島内憲夫さんや広島県被団協の佐久間邦彦理事長、韓国・グリーン病院のチョン・イルヨン院長など八人が来賓あいさつ。全国自治体病院協議会の邉見公雄会長、沖縄・前名護市長の稲嶺進さんなどからメッセージが届きました。
運動方針案を岸本啓介事務局長が提案。「戦争や貧困が広がる社会では健康権は守れない。核兵器は使わせない、戦争はさせないと誓い、守ってきた歴史を未来に渡す。広島での総会開催が誇りと確信になるような討論を」と呼びかけました。西澤淳事務局次長が決算報告と予算提案を行いました。
討論では被災地の現状や憲法九条を守るとりくみに続き、貧困・格差の広がりと社会保障切り捨て政策に抗する現場からの報告、医師・職員養成や経営問題など、二七人が発言しました。続く討論を二日目の分散会に付託しました。
夕方から、一三歳の時に爆心から七〇〇メートルで被爆した小方澄子さんが被爆証言。元広島民医連会長で被爆医療、原爆症認定訴訟にかかわった齋藤紀医師が、「原子爆弾被害とは何か―核兵器廃絶運動の前進のなかで」と題して講演しました(次号で詳細)。
二日目は一三の分散会を行い、九三四本の発言で活発な討論をしました。三日目には全体会を再開。非核フィリピン連合のマギティング・ファブロスさん(歯科医師)の来賓あいさつに続き、三つの分散会報告。方針案について出された意見に対し、岸本事務局長が理事会の見解を説明。全体討論では一〇本の発言がありました。
選挙管理委員会が八四人の役員と三人の会計監査の候補全員が圧倒的多数で信任されたと報告。理事会総括報告に続き、運動方針案と決算・予算報告を圧倒的多数で採択。特別決議と総会スローガンを採択、評議員、予備評議員の選出を拍手で承認しました。
第一二回民医連表彰は、一つの論文と八つの発表が受賞しました。
退任役員二〇人を代表し、吉中丈志前副会長があいさつ。第四三期理事会を代表して藤末衛会長が決意表明、山田秀樹副会長が閉会あいさつをしました。
第43回総会スローガン
○憲法をまもり、生かす国民的運動に参加し、人権、民主主義が輝く平和な未来を切り拓こう
○社会保障の営利・市場化に反対し、共同組織とともに、住民本位の地方自治の発展、安心して住み続けられるまちづくりを進めよう
○「医療・介護活動の2つの柱」を旺盛に実践し、経営、職員の確保と育成、運動との好循環を創り出そう
(民医連新聞 第1664号 2018年3月19日)