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民医連新聞

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相談室日誌 連載438 生活保護を拒んだAさんの言葉(東京)

 Aさんは独居で身寄りのない六〇代男性です。今年の健康診断で心電図に二度目の異常を指摘され、救急外来へ。呼吸苦・下腿浮腫が強く、入院を強くすすめられましたが、断っていました。
 それでも、体の辛さは続き、外来を定期受診するようになりました。そして本人から医療費の支払いが困難だと相談が入りました。息をハーハーしながら「寝るのも大変。医師には、通院では限界。入院してほしいと言われた」と話しました。入院費用が出せれば、入院する気持ちがあるのか確認すると、ハイと答えました。
 厚生年金を受給していますが家賃、保険料、光熱費などを払うと月三万円弱しか残らず、医療費・薬代は出ません。生活保護を提案しました。「次の外来までに状況が変わらなければ入院して、生活保護を申請します」と、Aさんは決意しました。今すぐ市役所に相談することもできると伝えましたが「そこまでして人の税金を使うのは申し訳ない」と拒否。最終的に、この次の外来で入院となり、入院当日に生活保護を申請。市役所とのやりとりも多々ありましたが無事に生活保護受給が決まり、専門治療ができる病院に紹介となりました。
 後でこのケースを振り返った時、「そこまでして人の税金を使うのは申し訳ない」という言葉が心に引っ掛かりました。生活保護に対する否定的な世論や不信感から「世間に顔向けできない」という認識を持ち生活保護を拒む人も少なくありません。そういった意識が社会に存在していることをあらためて認識しました。また、年金を受給していても、医療費がかかると生活が成り立たない状況に陥る方が多くいらっしゃることも事実です。
 生活保護は困った時に生活を守るための制度であり、保障された権利です。ソーシャルワーカーとして、患者様の声を社会へ反映し、患者様の人権が守られるよう努めていきたいです。困った時に困ったといえる社会づくりが必要であると思います。

(民医連新聞 第1661号 2018年2月5日)

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