第13回 全日本民医連 学術・運動 交流集会 茨城 分科会(口演)ポスターセッション すすんだとりくみ 全国から682演題
初日に行われた分科会。全国各地から六八二演題(口演四四三、ポスター二三一)が集まり、全三〇会場で発表・交流しました。一部を紹介します。
第4会場
「認知症の医療とケア(1)」
発表は一一本。認知症患者・利用者や家族に寄り添った事例報告がありました。石川から二本、通所介護で音楽と料理をそれぞれ取り入れ、認知症の行動や心理症状の緩和につながったと報告。北海道から、アクティビティ・ケアを学び、その人に合った「お化粧」アクティビティを実践し、意欲が増し笑顔が増えた事例。東京からは、認知症で痛みの訴えが困難になったがん患者を在宅で看取った事例と、認知症利用者をささえ苦悩する家族との信頼関係を築き、施設利用に対する不安を軽減した事例が報告されました。
また、昨年一〇月に開設した「物忘れ外来」について報告した埼玉には、診療体制や開設前の準備に関わる質問が相次ぎました。
第8会場
「在宅や施設での医療・介護の取り組み(5)」
一二本の演題。奈良・おかたに病院在宅医療センターは、「顔の見える連携」を目的とした介護事業所向け「在宅医療学習会」を定例で開き、医療者と介護者の視点の違いを感じながら毎回活発に論議している様子を報告しました。
東京からは、看護小規模多機能での実践を二本報告。千石にじの家では、経済的困難者のための法人独自の宿泊費免除を認めるよう求めた行政交渉も報告され、質問や他法人からの補足情報が出るなど、活発な議論になりました。
千葉からは、保険薬局の在宅活動について。新潟から、看護師が常駐しない小規模多機能で、医師や家族との密な連携のもと看取りを実現できた事例が出ました。
第11会場
「憲法を守り、人権としての社会保障を実現するたたかい(1)」
無料低額診療事業にかかわる報告が五本。石川・城北病院と茨城・城南病院から、無低診利用者の保険種別や雇用形態、収入などについて調査・分析した報告がありました。非正規労働者が病気やケガを機に失職し困窮、低賃金のため働いても生活が苦しい「働く貧困層」の存在、低年金の増大、社会的孤立などの特徴が浮き彫りに。愛媛生協病院は、無低診の事例をもとに行政や社会福祉協議会との懇談を毎年行い、他機関からの患者の紹介や連携が広がっていると報告しました。
山口や東京から、「気になる事例」を集め訪問活動などにつなげている報告、生活保護実態調査や手遅れ死亡事例から社会的背景や改善点について学んだ長野や福岡のとりくみも出されました。
第16会場
「民医連らしさを感じられる職場づくり・職員育成、幹部・管理者養成(1)」
効果的な学習のすすめ方や全職員への伝達の工夫、従来型でない次世代幹部養成プロジェクト、事務政策づくりなど、民医連職員を育てるために行われている努力が多彩に報告されました。
「事務育成研修として行った子育て世代の経済調査をもとに、自治体に実態を届けて運用改善につながった」(長野)など、単なる学習で終わらせなかった経験も飛び出しました。京都からは「一〇年続けてきた『平和塾』が平和を学ぶだけでなく、民医連職員を育てる場にもなっている」との報告がありました。
また、腰痛予防対策や病棟看護師の精神健康度調査、医師労働の軽減など職員の健康を守るためのとりくみも三本報告されました。
第18会場
「地域包括ケア(2)医科、歯科、介護、保険薬局の連携、地域連携、行政との連携、共同組織とともに進める取り組み」
「県の委託で発達障害児の個別療育に民医連STが参加」(埼玉)「医師会へ意識的に参加することで、かつては難しかった地域の医療介護のためのネットワークができつつある」(東京)など、行政や職能団体との連携の話題がありました。他に、通所介護における看護師の役割の考察、歯科の協力を得て口腔ケアを改善した介護施設の経験、「健康サポート薬局(一六年一〇月制度開始)」の活動、高齢者を見守れる地域づくりを担う地域包括支援センターの事例などが報告されました。
全九演題中、報告者の内訳は薬剤師二、ケアマネ一、事務一、ST一、医師一、看護師一、介護福祉士一、SW一。職場や職種の別なく挑戦が始まった課題であることがうかがえました。
発表テーマ一覧
32のテーマ募集に対して、31テーマ集まりました。
1.憲法を守り、人権としての社会保障を実現するたたかい
2.地域再生、安心して住み続けられるまちづくりの取り組み
3.平和憲法のもと戦争する国づくりを許さない取り組み
4.原発ゼロの運動と被害者支援の取り組み
6.科学的で民主的な管理経営と「たたかう経営」
7.民医連らしさを感じられる職場づくり・職員育成、幹部管理者養成
8.健康格差を克服するヘルスプロモーション・保健予防活動
9.こころの健康をめぐる取り組み
10.環境・公害、薬害問題への取り組み
11.医療・介護の安全と質向上の取り組み
12.医療・介護現場の倫理的問題、職業倫理、倫理委員会の取り組みなど
13.外来医療活動の展開
14.慢性期病棟の医療・介護
15.救急・急性期医療活動の展開
16.がん医療、緩和ケア
17.チーム医療・民主的集団医療
18.認知症の医療とケア
19.高齢者医療
20.在宅や施設での医療・介護の取り組み
21.地域包括ケア(医科、歯科、介護、保険薬局の連携、地域連携、行政との連携、共同組織とともに進める取り組み)
22.診療所の活動
23.リハビリテーション
24.災害医療・震災支援
25.女性の人権と健康
26.子どもの人権と健康
27.医療情報システムの活用
28.医師確保と養成・医学生対策、ドクターウエーブ
29.看護師確保と養成、看護実践、看護改善の取り組み
30.介護職員の確保と養成、介護ウエーブ
31.薬剤師の確保と育成、コメディカルの後継者育成の取り組み
32.県連・地協機能の強化
(民医連新聞 第1655号 2017年11月6日)